南東北看護師コラム
糖尿病と運動について
看護師(日本糖尿病療養指導士) 小澤 五月
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出の自粛やリモートワークが要請されています。自粛により身体活動の機会が減少した結果、筋力量の低下や基礎疾患の悪化・認知機能の低下などが懸念されています。
日本運動疫学会は、『少しでも身体活動を増やし座位行動を減らすことが心身の体調を整え、感染を予防する上で重要です』と呼びかけています。運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本です。運動にはたくさんのメリットがあります。
2型糖尿病の主な原因は、肥満・過食・運動不足です。運動をすることで、エネルギーを消費して肥満を解消・抑制します。さらに運動を毎日続けることで、筋肉活動量が上がり、悪かったインスリンの働きも改善します。 また、食後1時間頃に運動するとブドウ糖や脂肪酸の消費が促され、血糖値が下がる効果があります。長期的には体重の適正化や生活習慣病のリスク軽減、骨の強度や筋量を維持し、バランス能力や柔軟性・持久力を向上させます。また、運動や身体活動はストレス解消にも役立ちます。メンタルヘルスを改善し、うつ病や認知機能低下のリスクを軽減・認知症の発症を遅らせる効果も期待されます。
運動の種類
運動には、有酸素運動とレジスタンス運動があります。無理なく継続しやすい有酸素運動を中心に、筋力を向上させるレジスタンス運動も組み合わせて行うとより効果的です。運動と同様の効果が期待できる動きは、日常生活の動作の中にもありますので、ふだんから意識して行いましょう。
★どのくらい運動すればよいのでしょう?
例えば、ウォーキングなら1日一万歩(約160~300kcal)の消費が推奨されています。ウォーキングの目安は1回につき15~20分間、1日2回行います。毎日行う必要はありません。1週間に少なくとも3~5日以上の頻度が望ましいです。ウォーキングはいつでも、どこでも、一人でもできます。 体力や年齢に合わせて歩き方やスピードを変えることができます。しかし間違った方法で運動を行うと糖尿病を悪化させてしまったり、中には運動療法の禁止・制限がある人もいるので必ず医師の指導を受けて行いましょう。