南東北看護師コラム
手術前の禁煙について
手術室看護主任 周術期管理チーム認定看護師 中野 晋太郎
新年度がスタートして早くも1か月が経過しました。手術室でも新人の職員が慣れないなかで一生懸命業務にあたっており、部署全体が明るい雰囲気になっています。
当院手術室では「術前外来」を行っています。外来にて医師からの手術説明がある段階で、手術室看護師があいさつに伺っています。入院前の早い段階から患者様の情報を知る事ができるようになりました。手術室での、より良い医療・看護の提供に役立てています。今は限られた症例でのみ実施している現状ですが、徐々に対象となる症例や診療科を拡大させていきたいと考えております。
今回は術前外来を行う中で質問が多い、喫煙に関することをまとめました。喫煙は身体に悪いものだということは皆さんご存じだとは思いますが、なかなか止められない方が多いようです。
Q. なぜ手術のときに喫煙してはいけないのか?
A.
術前の禁煙により、周術期呼吸器合併症の発生頻度の減少や、症状の軽減が期待できます。禁煙ができない場合、合併症は増加・重症化し手術後の回復が遅くなってしまいます。また傷の治りにも影響してきます。
Q. いつから禁煙を始めればいいのでしょうか。
A.
手術前のいつの時点からでも、禁煙を開始することには意義があります。禁煙期間が長ければ長いほど、その後の合併症をより減少させます。2週間以上の禁煙が望まれますが、2~4週間程度の禁煙で症状の改善にはつながります。しかし肺合併症を減少させるには8 週間以上の禁煙が必要です。
Q. 加熱式タバコだったら大丈夫?
A.
現状では非燃焼・加熱式タバコが従来のタバコよりも健康に与える影響が少ないという科学的根拠はなく、従来のタバコ同様に禁煙して頂きたいです。
もちろん手術の時だけではなく、常に禁煙できることが望ましいです。なかなか禁煙できなかった方の中には、手術後に肺炎になったり入院が長引いてしまったりする方もおり、後悔の声がよく聞かれます。命にも関わってくるので、ご自身のためにすぐにでも禁煙をお願いしたいです。