新型コロナワクチン接種とアナフィラキシー反応
副院長・救急センター所長 赤間 洋一
わが国においても新型コロナワクチンの接種が徐々に広まりつつあります。それに伴いさまざまな副作用の報告がなされてきていますが、中でもアナフィラキシー反応の出現が大きな問題となっております。
それではアナフィラキシー反応とはどのような状態・病態を言うのでしょうか。アナフィラキシーとはアレルギー反応の一種で、急激に症状が出現する即時型とも言われています。多くは5分から30分以内に症状が出現します。
体内に異物=アレルゲン(抗原)が侵入するとIgE抗体が作られます。これが臓器の肥満細胞や血液中の好塩基球の表面に付着します。これを感作と呼んでいます。
その後、同一のアレルゲンが再び体内に侵入するとそのアレルゲンが肥満細胞や好塩基球のIgE抗体と反応し、これらの細胞からヒスタミンやトリプターゼなどのケミカルメディエータが放出されます。その結果、血管性浮腫、粘膜浮腫、皮膚の紅斑、気管支収縮など様々な臓器に障害を及ぼし生命を脅かすことになります。
アレルゲンとしては抗生剤、造影剤、局所麻酔薬などの医薬品、ハチ毒、卵、乳製品など私たちの身の回りには数多く存在します。また、アナフィラキシーでは年間60例前後の死亡例が発生しています。医薬品が約30例、ハチ毒が約20例、食べ物・その他が10例ほどです。
それでは新型コロナワクチンの場合はどうでしょうか。ファイザー社製やモデルナ社製ワクチンにはポリエチレングリコールが含まれております。このポリエチレングリコール(PEG)がアレルゲンとなっている可能性があります。PEGは化粧品、保湿剤、歯磨き粉、軟膏の基材などに広く使用されております。
実際に新型コロナワクチン接種でのアナフィラキシーの発生数は、アメリカでは994万件に対し50件(約20万に1件)との報告があります。わが国では4月4日までに109万6698回接種され79件発生したとの報告があります。
岩沼市では新型コロナワクチン接種会場内にアナフィラキシーなど様々な副作用に対応出来る処置室を設けております。また、救急隊や病院とも連携し万全の体制をとっております。
皆さん安心して新型コロナワクチンを接種して下さい。