当院の脳ドック(脳検診)について
院長 松島 忠夫
脳ドック(脳検診)ではMRIで脳の状態、脳血管の状態を把握ができます。検診ですから特に何か症状がある方が受けるものではありません。脳症状が疑われれば保険診療で検査ができます。0.5T-MRIの時代から始まり、その後1.5T-MRIとなり、当初から30年以上になろうかと思います。現在年に1500人から1800人ほどが検査を受けています。毎日数人から多い日は10人ほどになることもあります。
突然倒れ、救急搬送され、脳の病気と診断される方で、事前に脳ドックを受けていることは稀なことです。他県での某施設で、脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかり、説明を聞くために前日ホテル宿泊中にくも膜下出血を発症した例を聞いています。救急搬送され、手術を受けましたが、後遺症を残したとのことです。こんなことが起こることは不幸なことですが、これまでの経験上、脳の病気というのはなかなか厳しいものがあります。
脳ドックの大きな目的の一つは未破裂脳動脈瘤の発見です。脳動脈瘤は若い人でもありますが、その頻度は低く、中高年で年齢と共に発見される頻度は増します。脳動脈瘤が破裂すればくも膜下出血の原因となります。未破裂脳動脈瘤が見つかれば、その大きさ、部位、位置により、治療法を検討します。開頭手術でのクリッピング、開頭はしないで血管内手術による瘤のコイル塞栓術となることもあります。小さなものではMRIでの経過観察になることもあります。
他に、血管病変として、頚部動脈の狭窄性変化、脳血管の狭窄性変化、無症状の脳梗塞と陳旧性の出血があります。これらはいずれも血管の動脈硬化性変化の結果と考えられますので、見つかれば、その原因として動脈硬化の危険因子の治療や指導が必要となります。脳ドックを受ける方々は、健康意識の高い方のようで、危険因子となる高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症など治療が必要なものはすでにされています。さらには動脈硬化の危険因子は、喫煙、肥満、そして運動習慣のないことも挙げられています。また加齢そのもの、遺伝因子もあり、現状では治療はできないものもあります。また脳ドックで発見されるものでは、脳腫瘍がありますが、頻度は低いです。その中では髄膜腫と下垂体腫瘍が多いといわれています。当院の脳ドックでごく少数で発見され、手術になった例、経過観察となっている例があります。また一般にはあまり知られていないようですが、大脳の白質病変があります。これは加齢変化ともいえますが、若くして目立てば、異常所見となります。所見として程度により、グレード判定されます。これも動脈硬化の危険因子に関係しており、異常と判定された場合は説明し、危険因子に留意または治療をすすめます。
MRIによる脳ドックでは認知症は判定できません。オプションである長谷川式の記憶を中心としたテストで疑いがあればさらに担当科受診をすすめるようにしています。
以上概略ですが、当院の脳ドックの現状です。
当院では、人間ドックのオプションとして脳ドックを受けることができます。
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