ワンポイントリハビリ
尿漏れ(尿失禁)~骨盤底筋群の運動について~
リハビリテーション科 作業療法士 更科 里依
今回は、尿漏れ予防として、腹圧性尿失禁に対する運動(骨盤底筋群の運動)を紹介します。
まず「骨盤底筋」とは、尿道や膀胱、直腸や子宮などの臓器をハンモックのように下から支えている筋肉です。この骨盤底筋がゆるむと、腹部に力が入った時に膀胱が下がり、尿が漏れてしまうのです。そのため尿失禁を予防するには、この骨盤底筋を鍛えることが大切です。骨盤底筋は体の深部にあり、どのあたりか意識しにくいので、コツをつかむ練習が必要です。
●骨盤底筋群の運動●
まずは骨盤底筋の力の入れ方についてです。
おなかや太ももに力を入れないようにしてください。筋肉の使い方の感覚としては腟周囲の筋肉や肛門括約筋を中へ引き込むようにして力を入れます。締めたまま10秒数えたら、10秒間力を抜き、また締めなおしましょう。このトレーニングを1日に80~100回行ってください。
①寝た姿勢で行う場合
慣れないうちは寝た姿勢で行ってみましょう。
あおむけに寝て足を肩幅に開きます。そして、両膝を立てて体の力を抜き、肛門と膣を締めます。締めたままゆっくり10秒数えたら、10秒間力を抜き、また締めなおしましょう。
②座って行う場合
乗り物に乗っているときや、家でテレビを見ているときに気軽にできます。
床につけた足を肩幅に開き、背中をまっすぐに伸ばします。肩の力を抜いて腰やお腹に力が入らないように気をつけながら、ゆっくり肛門と膣を締めます。この姿勢で、ゆっくり10秒数えたら、10秒間力を抜き、また締めなおしましょう。
以上の運動を規則正しく毎日続けてください。効果が出るには少なくとも8週間はかかると言われていますので、気長に続けるようにしましょう。