健康社会作りのなかでの、癌、脳検診
理事長特別補佐監兼執行本部長 水野 順一
平成28年もあと1月足らずとなり、なんとなく慌ただしい季節を迎えました。そろそろインフルエンザも流行する時期を迎えることもあり、テレビ番組では健康をテーマとした内容が多くみられます。その中には著名人がお亡くなりになったとか、癌で闘病中などの報道も目につきます。平均寿命も年々伸びてきており、健康で長い生涯を送る意識は確実に高まってきています。
先日私の長い友人である中国の脳神経外科の先生と、久しぶりにお会いしました。1年半前まではメールのやりとりもかなり頻繁にあったのですが、このところ音信不通でした。先生はまだ50歳台なのですが、大腸癌を患い手術や抗癌剤などによる闘病生活を送っていたと言われていました。私はすでに還暦を過ぎましたが、幸いにもまだそのような大病には罹ることなく過ごして来られました。私は南東北病院に平成20年に赴任してから、毎年癌や脳検診を受けることを始めました。今では死因のほとんどは、癌、脳卒中、心筋梗塞、事故で占められています。事故のように防げないものは仕方がないのですが、癌や血管障害は日々の生活に注意することや検診を受けることで予防や早期発見が可能です。南東北病院では早期からPETによる癌検診や、MRIでの脳検診を行ってまいりました。日本は医療先進国と思われていますが、根強い喫煙習慣や健診に関してはまだまだ欧米のレベルにはほど遠いのが現状です。私も脳神経外科医として脳や脊髄の治療をしてきましたが、若い女性の乳癌の脳転移とか喫煙男性の肺癌による脊椎転移など悲惨な経過でお亡くなりになった患者さんの記憶が多くあります。厚生労働省も“健康すこやか21世紀”をテーマに、癌、生活習慣病、運動器疾患症候群などの撲滅を提唱しています。南東北病院も開設30年となり、より一層この地域の住民の皆さんの健康を守る役割を担うよう予防医学を中心とした健康医学に力を入れていきます。ぜひ皆さんも当院の健診を受けて、健康で楽しい人生を目指してください。