肺炎と肺炎球菌ワクチン
感染防止対策室 看護師・院内感染管理者 佐々木 みゆき
皆さんは、2014（平成26）年10月1日から高齢者対象（65歳以上）の肺炎球菌ワクチン予防接種が定期接種になったことをご存知ですか？現在、俳優の西田敏行さんがテレビコマーシャルを行っています。一度は目にされた方も多いのではないでしょうか？
日本人の約3～5%の高齢者は、鼻や喉の奥に肺炎球菌が常在しているとされます。肺炎球菌は、主に気道の分泌物（唾液や痰など）に含まれ、くしゃみの際、飛沫によって他者に感染をおこします。肺炎球菌感染症は、肺炎や気管支炎、敗血症などの重篤な疾患を引き起こすことがあります。
現在、肺炎は脳血管障害を抜き、日本人の死亡原因の第3位となりました。今後、日本は高齢化がさらに加速し肺炎を発症する方の増加が予想されます。予防としては、手洗いやうがい（口の中の清浄化歯磨き、舌磨きも含む）、肺炎球菌ワクチンの予防接種を行うことが有効とされています。
今回、定期接種となった肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP（23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン）」には肺炎球菌の血清型93種類中23種類が含まれています。93種類中23種類では少ないように感じますが、この23種類の血清型は、成人の重症な肺炎球菌感染原因の約7割を占めるという研究結果があり、有効であるとされています。過去5年以内にこのワクチンを接種された方は対象外となりますので、接種歴を必ず確認してから受けてください。誤って再接種した場合、注射部位の痛み、紅斑、硬結等の副反応が強く出現することがあります。
接種場所、対象年齢、接種期間、助成額などはお住いの市町村によって違います。この機会に接種されてはいかがですか？そして健康寿命を維持しましょう。
