薬局だより
尿に糖分を排出する薬 「SGLT2 阻害薬」
薬局 薬剤師 東 宏子
今回は「SGLT2 阻害薬」という糖尿病の新薬をご紹介します。従来の糖尿病の薬はインスリンに関するものがほとんどでしたが、今回の新薬は腎臓に作用して血糖値を下げる薬となっています。
SGLT2って?
SGLT2とはタンパク質の一種で、体内でブドウ糖やナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担っています。健康な人では、SGLT2の働きによって尿中の糖分が血液中に吸収されるため、尿に糖が排泄されることはありません。
SGLT2 阻害薬の作用
SGLT2 阻害薬は、その名のとおりSGLT2の働きを抑える薬です。SGLT2の働きを抑えると、尿中から糖分を血液に取り込む働きが抑えられます。抑えられた分だけ尿に糖分が出ていき、その結果高血糖が改善されるというしくみになっています。
●メリット
●低血糖の心配が少ない(全くならないわけではありません)
●体重減少効果
●血圧低下
●脂質改善
●デメリット(副作用)
●多尿による脱水
●尿路感染症
●性器感染症
●血糖値が正常でも尿糖が出る
●インスリン分泌不全の場合、ケトアシドーシスの注意が必要
このようにメリットもありますが、上記のようなデメリットもあります。
これからさらに暑くなるため、特に体内の水分量が少ない高齢者は脱水に十分注意が必要です。また、尿に糖が多く出ることで、尿路感染症を引き起こしたり女性からは性器感染症の副作用が多く報告されています。ただ、このような副作用は水分を多く摂取したり、性器を清潔にするなどして防げる可能性もあります。
※新薬のため、今後予期せぬ作用が出るかもしれません。体調がすぐれない場合は、かかりつけの医者や薬剤師に相談して下さい。