胆石について
外科医長 木村 卓也
胆石症とは、胆汁が流れる胆嚢や胆管に結石(石)ができて、腹痛・発熱・黄疸など様々な症状を引き起こす病気です。肝臓で作られた胆汁という消化液は、胆嚢・胆管を通って十二指腸に出されます。この胆汁が何らかの原因で固まり、「胆石」ができることがあります。
胆石症は結石ができる場所により、
1)胆嚢結石(胆汁が濃縮される胆嚢にできる)、
2)胆管結石(胆管のいろいろな場所にできる)、
の大きく2つに分けられます。
※ちなみに「胆石」とは、胆嚢結石や胆管結石の略称です。
[症状]
①上腹部痛(胃のあたりの違和感~突然の激しい痛み、疝痛発作)
②背中に通すような痛み
③発熱・黄疸、などがあります。
胆嚢結石では無症状のことが多く、症状がなければ、そのまま経過を見ていても問題ありません。しかし、いつ症状が現れるか不明なことと、結石により胆嚢の壁が厚くなったり、癌が発生する可能性もあるため、定期的に検査を続けていくことが大切です。
[診断のための検査]
血液検査、レントゲン検査、内視鏡による検査(治療)、超音波検査、CT検査、MRI検査などがあります。
[治療]
1)胆嚢結石:胆嚢摘出術(結石が出来やすい胆嚢を石ごと切除する手術)が根治的治療です。現在では腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準的な手術として行われています。開腹による手術と比較して、お腹の傷が小さく、手術後の回復も早いためです。早期に退院し社会復帰も可能となることも多いことが特徴の一つです。ただし、胆嚢の炎症や以前の開腹手術の癒着が強い場合には開腹手術となることもあります。
2)総胆管結石:内視鏡的治療と外科的治療がありますが、体に負担の少ない内視鏡的治療が主流となってきています。内視鏡を用いて、胆管の十二指腸への出口である乳頭部を切開したり(EST)、風船(バルーン)で膨らませたり(EPBD)して広げておき、胆管から結石を取り出します。内視鏡的に除去することが困難な場合に外科的治療(手術)が行われます。現在では、前述した腹腔鏡による手術も行われています。