薬局だより
熱中症について
薬局 薬剤師 東 宏子
蒸し暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は本格的に暑くなる夏を迎える前に熱中症についてお話したいと思います。
熱中症とは
運動や暑さから起こる体の障害の総称を熱中症と言います。熱射病や日射病は、重症の熱中症のことを指します。医学的にいう熱射病とは、体温を正常に保とうとする機能が低下して汗がとまり体温は40℃を超え、そのままでいると死に至るという極めて緊急性の高い状態を指します。
原 因
人間の体は、皮膚からの放熱や発汗によって体温を下げますが、外気が皮膚の温度以上の時や湿度が非常に高いと、放熱や発汗ができにくくなります。このような体のしくみから、熱中症を引き起こすとされています。
※また、基礎疾患のある高齢者や肥満、糖尿病、アルコール依存症の患者さんも、熱射病に陥りやすいとされています。
症 状
熱中症の症状は、軽症の熱けいれん、中等症の熱疲労、重症の熱射病の大きく3つに分類されます。
具体的には、疲労感をはじめ、筋肉がこむら返りを起こす熱けいれん、脱水が主体で頭痛や吐き気をもよおす熱疲労、体温が40℃を超え、意識がなくなる重症の熱射病まで様々な症状があります。
熱中症にかかってしまった時のための、
応急処置を紹介します。
F (Fluid)……………液体(水+塩分)の摂取…経口補水液など
I (Ice)………………身体の冷却
R (Rest)……………運動の休止、涼しい場所で休む
E (Emergency)……「緊急事態」の認識、119番通報
これらの頭文字を合わせて、「FIRE(ファイヤー)」と覚えましょう。
熱中症の予防対策
経口補水液を常備 ~経口補水液とスポーツドリンクの違いは?~
一般的にスポーツドリンクは経口補水液よりも電解質濃度が低く、逆に糖質濃度が高いため、スポーツ後の水分補給と電解質補給であれば市販されているスポーツドリンクで十分ですが、熱中症の症状である、下痢や嘔吐、発熱、激しい発汗、脱水症状状態になっている時には、水と電解質(ナトリウム、カリウムなど)を素早く補給、吸収できるように工夫された飲料である経口補水液を摂取するのが望ましいです。
経口補水液は、ドラックストアなどでお手軽に購入できる大塚製薬のOS-1(オーエスワン)が厚生労働省認可の個別評価型病者用食品で有名です。
また、経口補水液は意外と簡単に手作りできます。あまり長期間の保存は出来ませんが、作り方をご紹介しますので参考にしてみてください。
~ 材 料 ~
水(ミネラルウォーター)…1L
塩………………………………小さじ2分の1
砂糖……………………………大さじ4と2分の1
上記の材料を容器に入れよく混ぜれば出来上がりです。