薬局だより
風邪には抗生物質!?
薬局 薬剤師 中田 真生
だんだんと肌寒くなり、風邪の季節がまたやってきました。風邪をひき、病院から薬を処方された際に、患者さんから「抗生物質は処方されていないのですか?」と質問されることがあります。風邪の症状に対して本当に抗生物質は効くのでしょうか??
(1)風邪についてまず考えてみましょう
①風邪の主な症状
風邪の症状は、鼻や口から原因となる病原体を吸い込み、その病原体の感染による免疫反応から起きます。一般には鼻や喉の軽い乾燥や不快感、くしゃみ、多量の水様の鼻水などです。
②風邪の主な原因
一般に風邪と呼ばれる症状を引き起こすとされている主な原因は、肺炎球菌、連鎖球菌などの細菌やウイルスの感染です。この中でも、ウイルスによるものが大多数を占めます。風邪の原因となるウイルスは数百種類いるとされていて、風邪をひいた後に、すぐまた風邪をひいてしまうということがあるのは、その風邪が違うウイルスによるものだからです。
(2)抗生物質が風邪の原因に効くのか考えてみましょう
抗生物質が効いてくれるのは細菌に対してです。ウイルスに対しては・・・残念ながら効果がありません。
〔答え〕
風邪に対して抗生物質は効果がない場合がほとんどです。もちろん細菌による風邪の場合、抗生物質はとても有効です。しかし、ウイルスによる風邪の場合、抗生物質が腸内の善玉菌と呼ばれる細菌に作用することにより、善玉菌が減り悪玉菌が増えて、体調を更に崩してしまうこともあります。まだ風邪の特効薬はなく、開発すればノーベル賞がもらえるとさえ言われているくらいです。
今は熱や咳、鼻水などに対して、それぞれの症状を和らげる目的で、対症療法的に薬を使っています。体力が正常の人の場合は、2~3日で風邪の症状は改善していきます。しかし、子供やお年寄り、その他の疾患を抱えている場合では、風邪が長引き重症化してしまう場合があります。やはり、風邪はかかってから薬を服用することよりも予防が大切です。これからますます寒くなってきますので、暖かくして、うがい手洗いを忘れないようにしましょう。