退院調整看護師からのお知らせ
~高血圧・心不全について~
東3病棟 看護師 石津 はる菜
9月号に引き続き「高齢者に多い疾患シリーズ」として、今回は循環器疾患(高血圧・心不全)についてお話します。
■高血圧症
高血圧症は、血圧が140/90mmHg以上のことを言います。原因は様々ですが生活習慣・加齢により発症することが多く、また脳卒中や虚血性心疾患の原因となるため、予防・コントロールが重要です。高血圧予防には、塩分を1日10g未満とすることが勧められていますが、在宅ではなかなか守りにくいのが現状です。医師の指示が厳重な場合を除き、10gを超えない程度の緩やかな減塩とし、食事の楽しみを損なわないよう注意しましょう。食塩は、ミネラルが豊冨な自然塩を用いると良いと言われます。また、現在内服治療をされている方は、欠食があった場合でも決められた通り服用することが大切です。高齢者では、血圧の下げすぎが意欲低下やめまいを招くこともあるため、注意しましょう。
■心不全
心臓のポンプ機能が悪くなったために、心臓から全身に血液を十分巡らせることができなくなった状態をいいます。高齢者では、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)と高血圧症が原因となるものが最も多く、次いで脱水、感染症(発熱)、貧血、不整脈、心臓弁膜症などがあります。心不全の頻度は加齢とともに増加するので注意を要します。心不全は急性心不全と慢性心不全の二つがあります。
<急性心不全発作時の主な症状>
①呼吸困難。②起坐呼吸(呼吸困難のため仰向けに寝ていられない状態)。③ゼイゼイ、ヒュウヒュウという苦しそうな呼吸。④薄い痰。⑤頻脈(100拍/分以上)。⑥尿量の減少。⑦下肢や体のむくみ。
<初期の心不全や慢性心不全が疑われる症状>
①日中の尿量が減る。②夜間に頻尿となる。③階段を昇った後などに息苦しくなる。④風邪に引き続き、夜の咳が何日も続く。⑤焦るとすぐ脈が速くなり、動悸がする。⑥夕方になると足がむくむ。 ⑦体が重い。
*高齢になると症状が自覚しづらい場合があります。また、原因を特定し、適切な治療を行って退院した後でも、塩分や水分制限の指示や生活方法を適切に守らないと再発の可能性もありますので、本人および家族の方も病気への理解をもつことが大切です。