不整脈について
副院長・循環器科科長 寺嶋 正佳
心臓(心房と心室)は、休むことなく収縮と拡張をくり返しています。心臓の中には電気の刺激のようなものが走り、その刺激によって心臓が順序よく動いています。その電気の流れを記録したものが心電図です。
不整脈は拍動のリズムが、① 不規則になるもの、② 異常に速くなるもの、③ 異常に遅くなるものの3つに大きく分けることができます。今回は ① について少しだけお話します。
一日に約10万回も動く心臓が乱れないことは通常ではありえませんので、不規則に動いたからといってすぐに心配する必要はありません。
正常よりも早い収縮が心室の一部に起こるものを心室性期外収縮、心房に起こるものを心房性期外収縮といいます。症状としては心臓が一瞬どきんとしたり、止まったように感じます。脈をとると途切れたり、間隔がまちまちになったり、1拍飛ぶような触れ方をします。
次に、心房の各部分が無秩序に細かく動いている状態の不整脈を心房細動といいます。ときどきおこる発作性心房細動と持続性心房細動とがあります。症状としては動悸や息切れ、めまい、胸部不快感などを覚えます。致命的になることは稀であり、高齢になるほど頻度は増加し、この心房細動のまま生活をしている方もたくさんいます。ただし、心拍数が非常に多かったり、少なかったりする場合には、治療が必要となります。また、心房細動では心房内に血液がたまりやすくなり、血栓ができる原因になり、その血栓が血流に乗って脳動脈に詰まると、脳梗塞を起こすこともありますので、予防のためには薬を飲むことが必要となります。
不整脈の誘因となるものには、過労やストレス、タバコ、アルコール、コーヒーの飲み過ぎ、運動のやりすぎ、睡眠不足などがあります。不整脈で治療が必要となることはそう多くはありませんが、治療が必要なものかどうか、不整脈の原因となる病気があるかどうかを調べることが大切です。