夜間頻尿でお困りの方へ
副院長 人見 浩
夜間頻尿とは「夜、就寝後にトイレに行くために1回以上起きなければならず、これにより日常生活に支障をきたして困っている状態」を言います。夜間頻尿回数が2回以上の男性の割合は、50歳代で5人中1人、60歳代で5人中2人、70歳代で5人中3人、80歳代で5人中4人と年齢と共に増加し、さらに排尿回数自体も増えることが示されています。 夜間頻尿の主な原因としては、3つあります。①夜間多尿(1日24時間に作られる尿のうちで、夜寝ている間に作られる尿の量が多い〈夜間尿量が全体の尿量の3分の1を超える(65歳を超える人)〉) ②膀胱蓄尿障害(少ない尿でトイレに行きたくなる) ③睡眠障害(夜間に尿意を感じて目が覚めたり、目が覚めると尿意を感じたりする)。 そこで、夜間頻尿の原因を知るためには、排尿の状態を記録すると良いでしょう。排尿の状態を記録する項目としては以下のものがあります。①排尿時刻 ②起床・就寝時刻 ③排尿量 ④尿意切迫感の有無 ⑤水分摂取状況です。尿量は市販の計量カップなどを用いて、排尿の度に毎回測ります。プラスチック製のコップやペットボトルをカットして目盛りをつけて代用することも出来ます。
今回は、夜間多尿が夜間頻尿の原因と思われる方の改善方法についてお話をいたします。次のような症状に当てはまる場合は、「夜間の尿が多いタイプ」かも知れません。
○昼間と同じくらい夜間に尿が出ている気がする
○寝る前や夜中の水分摂取は控えているのに、夜間にトイレへ2回以上行くことがある
○昼間の排尿回数は多くはないが、夜間にトイレへ3回以上行くことがある。
以上の症状に当てはまると思われた方は、以下の日常生活の工夫を行なってみてはいかがでしょうか。
◎適度な水分摂取を心がける(1日の水分摂取量の目安は、体重×20~25ml〈60kgの人なら1200~1500ml〉)
◎寝る前のお茶、アルコールは控える
◎夕方以降の塩分を控える
◎足の下にクッションなどを当てて足先が10~15cm程度上がるようにして横になる。昼から夕方までの間に30分程度行う。睡眠のリズムが乱れないように、眠らないように注意して下さい
◎夕方の散歩、スクワットなど適度な運動をする
◎弾性ストッキングの使用(市販されているむくみ対策用の締め付ける面積が少ないハイソックスタイプがお勧め。朝起きてから夕方まで着用。糖尿病や心臓病の方はかかりつけ医に相談して下さい)