南東北看護師コラム
【せん妄】について
看護主任 認知症看護認定看護師 山田 愛実
【せん妄】とは何か
今回は、認知症で起こる症状のひとつ【せん妄】についてお伝えします。【せん妄】という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 脱水・感染・貧血・苦痛・薬物などにより、身体になんらかの負担がかかった時に生じる、脳の機能の乱れのことを言います。入院等の環境変化で20~30%の人が発症すると言われています。症状としては、
・会話のつじつまが合わない ・集中力がなく物事に取り組めない ・夜に眠らずに活動を続けている ・現実には無い物や人が見えている ・怒りっぽく興奮している といったものがあります。
これらの症状は急激に出現するため、「昨日までと明らかに様子が違う」と感じるのが大きな特徴です。 【せん妄】は身体の症状であるため、要因となっている身体の負担を取り除くことが治療となります。そのためにも【せん妄】であると感じたら、早期に受診することが必要です。
【せん妄】になった場合にはどのように対処すれば良いの?
「入院するのではないの?」「受診したら良くなるのではないの?」と驚かれることがよくあります。【せん妄】になったからと言って、必ず入院できたり、すぐに【せん妄】症状が改善するわけではありません。【せん妄】の要因となっている身体の状況が、入院が必要なものであれば入院となりますが、入院が必要でなければ自宅での対応となります。代表的な例は便秘ですね。
【せん妄】になった場合は、要因となっている身体状況への対処・【せん妄】の症状への対処が必要です具体的には、会話のつじつまが合わなくてもしっかり頷いたり聞いたりする姿勢を持ちましょう。そして、本人が何を求めているのか、何を言おうとしているのかを見極めていくことが重要です。また、幻視については否定せずに見守りましょう。
夜眠らない状況に対しては、お薬の使用が必要となる場合がありますので、医師に相談しましょう。また、興奮している時に何かをしようとしても危険なので、安全な環境を整えた上で、少し離れて見守ることも必要です。【せん妄】状態となっている本人は意識がもうろうとしているため、一見会話をしているようでも、後から聞くとその時の状況を覚えていないことがほとんどです。 ですので、正常な判断をすることが困難です。刃物などケガに繋がりやすいものは本人の身の回りから遠ざけて、視界に入れないようにしましょう。
【せん妄】になっていることを見逃さない
【せん妄】を早いうちに発見し、適切に対処すれば元のように戻ることが出来ます。ですが発見が遅れたり対処が遅れたりすれば、以前より認知症の状況が悪化した状態となります。 早期発見に繋げるためにも、【せん妄】という状況があることを覚えていてください。