ワンポイントリハビリ
職場環境と腰痛について
リハビリテーション科 理学療法士 工藤 悠
労働災害で最も多いのが腰痛です(全体の64%)。腰痛の発生が多い仕事として重量物の上げ下ろし、長時間の立ち・座り作業、介護、看護、車両を運転する仕事などが挙げられます。
職場での腰痛の要因は、主に4つあります。
①姿勢・動作要因(重量物の持ち上げ、介護・看護、長時間の同じ姿勢、不自然な姿勢、不用意な動作)
②環境要因(振動を伴う動作・運転、寒冷・多湿な空間、滑りやすい床面・段差、暗く見えにくい空間、狭く乱雑な空間)
③個人的要因(年齢や性差、体格や作業空間、筋力やバランス、既往歴や基礎疾患)
④心理・社会的要因(仕事へのやりがい、上司や同僚との関係、仕事上のトラブル、過剰労働や心理的負担)
腰痛予防のポイントとして、腰痛のタイプ別に姿勢・動作に問題がある場合と、作業環境に問題がある場合に分けられます。
・姿勢、動作に問題がある場合は、腰に負担の少ない姿勢を心掛ける事がポイントです。
①物を持ち上げる場面では対象物に身体を近づけ、重心を低くし、身体のひねりを少なくする。取り扱う物の重量は、男性では体重のおおむね40%以下、女性では男性の取り扱うことのできる重量の60%位までとし、超える場合には2人以上で作業する。
②椅子に座る場面では前傾姿勢を避け、高さを股関節・膝関節90度の位置へ調節する。長時間同じ姿勢をとらないようにし、机の高さは肘を90度曲げて腕が接触する程度に調整する。
・作業環境に問題がある場合には、以下のようなポイントに注目し腰痛を予防しましょう。
①湿度を適切に保つ
②適切な明るさを保つ
③滑りにくい床面を保つ
④福祉用具を使う
⑤設備レイアウトや空間の広さを適切に保つ
⑥振動を軽減させるための工夫をする
職場で腰痛を予防するには環境設定や、上記のような取り組みが重要となります。それぞれの要因に応じた対策をとりましょう。