南東北看護師コラム
手術に関連する感染の話
感染制御実践看護師 佐藤 千春
皆さんは手術をされた経験はありますか?
「手術室」といえば、清潔な場所というイメージがあるのではないでしょうか。手術室のスタッフは、手術器具の適切な洗浄・消毒・無菌操作・空調など多方面に気を付けており、患者さんが安心して手術を受けられるよう業務にあたっています。手術を安心して受けることと、手術後の経過を良好にするには患者さんにもご協力頂きたいことがいくつかあります。
まず「手術部位感染」の予防についてですが、これは手術後30日以内に手術操作の直接及ぶ部位に発生する感染のことで、通常の感染のように傷の痛み・傷周囲の腫れ・発熱・傷が赤くなるなどの初期症状が見られます。重症の場合には、化膿し傷が開いてしまうという状態になることがあります。これをおこさない為に患者さん自身に協力していただくことが以下の3点です。
①禁煙:術前28日前からの禁煙が必要です。最近では前日入院の予定が組まれることが多いかと思います。ですが入院してからの禁煙では間に合わないため、手術の予定を組まれた時点で考えていただければと思います。
②予定切開箇所の洗浄:担当医師や手術室看護師から手術説明時に、手術の傷はどの辺りになるのか話されるかと思います。手術前日または当日の入浴の際に、予定されている切開箇所を洗っていただく事が傷を感染させない予防として重要になります。通常ご使用いただいているボディーソープやシャンプーで優しく洗ってください。
③手術前・後の体を冷やさない:手術当日に入浴をする場合は湯冷めをしないよう注意して下さい。体が冷えるということは、体温が低い状態になるということです。そうすると血管が収縮し血液のめぐりが悪くなり、十分な酸素が送られなくなってしまいます。十分な酸素は感染を起こさない為に大きな働きをしますし、身体を温め血流が良い状態ですと、感染予防の為に使用される薬の効果が十分発揮されます。
これから手術を予定される方々は、以上のことを思い出していただければと思います。私たちスタッフも、「手術をして良かった」と感じていただけるようにお手伝いをさせていただきます。