ワンポイントリハビリ
シリーズ 高齢者について 5.高齢者のための安全な運動方法 その2
リハビリテーション科 理学療法士 平間 華月
前回は運動を行う上での注意点についてお話しさせて頂きました。今回は自宅でできる簡単な自主トレーニングをご紹介したいと思います。
転倒を予防するためには抗重力筋を鍛えることがとても大切です。
■抗重力筋には…
脊柱起立筋、腹筋群、大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、下腿三頭筋があります。
①腹筋群
仰向けに寝て軽く膝を曲げます。
息を吐きながらおへそを覗き込むようにゆっくり頭を上げましょう。
息を止めないように注意しながら行ってください。
②脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん):背中の筋肉
椅子に腰かけ、身体を丸めた状態がスタートです。そこからゆっくり背筋を伸ばしましょう。息を吐きながら丸まり、息を吸いながら背筋を伸ばすとよいです。
③大殿筋(だいでんきん):お尻の筋肉
仰向けに寝ます。膝は90°くらいに曲げると良いです。腰をゆっくり上げ下げしましょう。この時腰が反りすぎると腰痛の原因にもなるので上げすぎには注意しましょう。
④大腿四頭筋(だいたいしとうきん):太もも前面の筋肉
・寝てできる運動
仰向けに寝て片方の足を立てます。(腰痛を予防するため)
次に、膝を伸ばしたまま反対側の足を上げましょう。上げすぎてしまうと効果が薄れるため、立てた足と同じ位の高さまでにしましょう。
・座ってできる運動
この運動はゆっくり行うことでハムストリングス(太ももの裏)も一緒に鍛えられる運動です。
椅子に深く座ります。片足ずつ左右交互に足を伸ばしましょう。
この時股関節を使って上げないようにしましょう。
(太ももが座面から離れないように)
⑤下腿三頭筋(かたいさんとうきん):ふくらはぎの筋肉
⑥前脛骨筋(ぜんけいこつきん):すねの筋肉
・座ってできる運動
椅子に腰かけます。
踵を上げると下腿三頭筋が鍛えられ、つま先を上げると前脛骨筋を鍛えることができます。それぞれ10回~20回ずつ繰り返してみましょう。
・立ってできる運動
必ず固定力の高いテーブルや壁を支えに使ってください。図のように踵を床から離しましょう。この運動は下腿三頭筋を鍛えることができます。
各運動をまずは10回ずつ実施してみてください。
絶対に無理はせず回数は調整してください。
運動の頻度は週に3~5回が適当です。これらを目安に運動を実施してみてください。
適度な運動を心がけ健康な体を目指しましょう。自宅でも簡単に行える運動なのでぜひ参考にしてみてください。