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尿酸代謝(痛風)の検査について
健診センター 保健師 菅野 君枝
働き盛りの男性を中心に「尿酸値」の高い人が増えています。尿酸値は、単に「痛風」発症の危険性を知るためだけでなく、動脈硬化につながる生活習慣の指標の一つとして注目されています。
〈尿酸・尿酸値とは?〉
尿酸とは体内で新陳代謝によって生じる老廃物であり、“エネルギーの燃えかす”でもあります。“尿”の検査ではなく、血液中の“尿酸”という物質の濃度のことを尿酸値といいます。通常は、体内で産生される一方で腎臓から尿の中へ排泄され、血液中の尿酸は一定の範囲内に保たれています。しかし、何らかの原因で産生量が多過ぎたり、排泄量が少なくなると、血液中の尿酸も増え、尿酸値が高くなります。
〈検査の行い方〉
血液検査で血清中の尿酸の濃度を測定します。健康診断では、一般に空腹時の採血で検査していきますが、尿酸値自体は食後に調べてもほとんど上昇しません。但し、薬の影響を受けることがあるので、服用している薬があるときは事前に伝えてください。基準値を超えた場合、「高尿酸血症」と診断され、病的な状態と考え対処が必要となります。
Q.プリン体を摂りすぎると、尿酸値が高くなるって本当?
A.尿酸は体内で「プリン体」が分解されてできます。確かに、プリン体の過剰摂取は尿酸値上昇の一因となりますが、尿酸は食物から取り入れるだけではなく、体内でも作られています。食品から直接プリン体を摂らなくても、食事の量が多いと体内で作られるプリン体が多くなり、尿酸も増えることがわかっています。そのため、現在は摂取カロリーの総量が特に 問題とされています。
尿酸値が高い人の生活習慣改善のポイント
①食事量を抑えて、肥満を解消する
プリン体の多い食品を避けるよりも食事全体の量を見直し、総エネルギー量を減らしましょう。
②お酒を減らす
ビールに限らず、アルコール自体が体内の尿酸を増やします。
③水分を十分にとる
脱水状態を防ぎ、尿量を多くします。水やお茶で水分補給をしましょう。
④適度な有酸素運動をする
激しい運動より、軽めの運動で時間を長めにしましょう。
⑤ストレスを上手に発散する
ストレス解消を飲み食いに頼らないようにしましょう。
尿酸値が高いとわかったら、生活習慣の見直しが必要です。定期的に健診を受け、早期発見・早期治療に役立てましょう。