薬局だより
湿布について
薬局 薬剤師 梶原 光太
梅雨の時期になると、肩こりや腰痛などに悩まされるという方は多いのではないでしょうか?原因は湿度が高いことにあります。ヒトの体は気温が高い場合は、汗をかいて体温を下げようとしますが、湿度が高いと汗が蒸発しないため、なかなか体温が下がりません。汗による体温調節が出来ないと、次に血管の収縮で体温を調節しようとします。結果的に血のめぐりが悪くなり、肩こりをはじめとする体の不調につながります。今月はそんな時に活躍する湿布についてお話します。
【冷湿布と温湿布の違い】
湿布には「冷湿布」と「温湿布」の2種類があります。「冷湿布」には冷たさを感じるメントール、「温湿布」には温かさを感じる唐辛子成分のカプサイシンが消炎・鎮痛剤の他に配合されていて、貼った時の感じ方に違いを出します。どちらも貼った時に皮膚の温度を下げる働きがあると言われていますが、毛細血管を拡張させて血流を増やすため、「温湿布」のカプサイシンには皮膚の温度を2℃ほど上げる効果があるとも言われています。
【2つの湿布の使い分け】
基本的には自分が貼って気持ちが良いと感じる方の湿布を選んで使用しましょう。使い分けるのであれば、ポイントは以下のようになります。
●ぎっくり腰、筋肉痛などの急な強い痛みには「冷湿布」
深部に炎症があり、熱を持っているかもしれないため、温度を上げる可能性のある「温湿布」は使用しない方がよいでしょう。
●慢性的な血行不良によるコリには「温湿布」
患部を温めることで血流をよくする可能性のある「温湿布」が適していると言えます。
【湿布によるかぶれに注意!】
湿布による皮膚のかぶれを経験したことのある人は多いかもしれません。軽度のかぶれであれば、薬を使わなくても治ってしまうこともありますが、湿布を貼った部分に残った薬剤と紫外線が反応して「光線過敏症」という副作用を起こすことがあります。光線過敏症では、湿布が貼ってあった部分のみに水ぶくれや発疹が出現します。病院で処方される湿布のほとんどで起こる可能性があります。治療には、主にステロイドの塗り薬が使用されます。光線過敏症は紫外線に当たることで発現する副作用ですので、湿布を貼った部分に直接日光が当たらないようにすれば、防ぐことが可能です。しかし、湿布をはがしてから数週間後でも起こる可能性がありますので、湿布の使用中、使用後に外出する際は紫外線カットの衣服の着用をお勧めします。紫外線を防ぐサンスクリーン剤の使用も有効ですが、なかにはさらに光線過敏症を引き起こしやすくしてしまうものもあるため、購入の際は薬剤師に相談してみてください。
※光線過敏症は湿布だけでなく様々な薬剤で起こりうる副作用です。日光に当たる部分にだけ発赤・発疹がある等の症状がある場合はご相談ください。