ワンポイントリハビリ
むせ=食事と思いこんでいませんか?
言語療法室 言語聴覚士 岡田 千佳
「むせ」とは、本来食道に入るべき食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまった(誤嚥する)時、気管から異物を出すために行われる防御反応です。
食事をしていて、むせたという経験はどなたにでもあるかと思いますが、むせる(誤嚥する)のは食事の時だけとは限りません。
普段食事中にむせる事はないよ!という方であっても、“眠っている間に誤嚥している”可能性もあります。
誤嚥を繰り返すと誤嚥性肺炎になってしまう場合もあるので注意が必要です。
眠っている間に誤嚥しているものは、主に唾液です。
高齢者は健康な方であっても30%弱の方が睡眠中に誤嚥をしているという報告もあります。
眠っている間の誤嚥への対処法
就寝前の歯磨きを念入りに行う
口の中が汚れていると、唾液には大量の細菌が混ざってしまいます。
大量の細菌が含まれている唾液を誤嚥した場合、誤嚥性肺炎になる危険性が高まります。
朝や昼よりも眠る前の歯磨きを特に念入りに行いましょう!
水平の姿勢では眠らない
水平の姿勢で眠っていると胃酸や胃の内容物が逆流してくる可能性があります。
胃の内容物は細菌を多く含んでいるため、誤嚥性肺炎の危険性が高まります。
就寝の際は頭の方を少し高くすると良いでしょう。
日中にしっかり活動してぐっすり眠る
夜、眠れないために睡眠薬を使用している方もいらっしゃると思います。
睡眠薬の中には神経に作用して飲み込みの働きを低下させ、誤嚥しやすくなるものもあります。
日中にしっかり活動して、睡眠薬を服用せずに眠れるようになると良いですね。
【引用文献】・Susan G.Butler,et al The Laryngoscope.2010
・一般社団法人日本言語聴覚士協会 令和5 年度第4 回全国研修会 言語聴覚士のための呼吸ケアとリハビリテーション