心臓リハビリテーションのご案内
循環器内科医長 武蔵 美保
「心臓が悪いから動いてはいけない。」という考えをお持ちの方は意外と多いのではないでしょうか。以前は、急性心筋梗塞後は6~8週間のベッド上安静が基本であった時代もありました。 しかし、現在は急性心筋梗塞に対して早期にカテーテル治療を行えるようになり、順調に経過した場合、治療の翌日には立つことができ、その後歩行や運動をしても大丈夫か検査をしながら少しずつリハビリテーションを行い、2週間程度で退院することが多くなっています。 心臓の機能が悪くなり息切れやむくみが起きる心不全においても、状態が落ち着いていれば早期にリハビリテーションを開始することが多いです。退院後に社会・職場復帰を果たし、質の良い生活を送る上で、早期からリハビリテーションを行うことは重要です。 また、リハビリテーションは、社会復帰後も、快適な生活維持のために生涯を通じて行うことが推奨されています。
では、どのくらいの強度で運動を行うのがよいのでしょうか。心臓リハビリテーションにおいては、「ややつらい」もしくはその一歩手前程度の強度で行うのがよいとされています。 しかし、症状の感じ方は人それぞれであり、ご自身で強度を設定するのは難しいと思われます。負荷が強い運動はかえって心事故を招きかねません。そのため、当院では運動負荷心電図検査を用いて運動処方を行っています。 これは、心電図検査や血圧測定を行いながら自転車を漕いだり早歩きで歩いたりする検査で、患者さんそれぞれにあった運動処方を行うことができます。また、最近は新たに心肺運動負荷検査という、運動中の息の分析を加えた検査を導入し、より安全に、より正確に運動処方を行うことが可能になりました。 運動処方に基づき、理学療法士の指導のもと外来での心臓リハビリテーションも積極的に行っております。病院で運動習慣をつけることで、ご自宅での運動習慣にもつなげていくことができます。 慢性心不全患者さんへの運動療法は、心不全入院の減少や心死亡を含む心事故減少などが期待できます。狭心症や心筋梗塞、心不全で治療している方で、心臓リハビリテーションに興味がある方は、是非循環器内科外来にお声がけください。