脳血管内治療~脳梗塞からの回復を期待する血栓回収療法について~
脳卒中センター長 竹村 篤人
脳梗塞になったら回復しづらいのは間違いではありませんが、早期に治療することができれば回復し得る脳梗塞もあります。その場合、薬だけの治療よりも血栓回収療法を行うことにより社会復帰率が約15%、自宅復帰率が約20%増加すると聞くとどうでしょう。
脳血管内治療は皮膚や骨を切って治療する開頭術に対し皮膚などを切らずに血管の中から治療する事を指します。それぞれの治療には利点、欠点がありますので、欠点の少ないもしくは利点の多い治療を選ぶことが大切です。 2022年度から脳卒中センターでは脳血管内治療と開頭術が通常治療で選択できるようになりました。
脳血管内治療は脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)に対する治療として活躍しています。脳卒中のうちの脳梗塞に関して言うと、ゆっくりと血管が細くなり閉塞するタイプと突然血管が閉塞するタイプがあります。 前者では閉塞前に徐々に周りからの血液が供給されるようになり軽症で済むことが多いのですが、後者は突然閉塞するため重症化しやすく「ノックアウト脳梗塞」と呼ばれています。 後者が今回お話しする血栓回収療法のよい適応となります。
血栓回収療法が日本で認められるようになったのは2016年の学会宣言(神戸宣言)が出されてからですので比較的新しい治療法になります。宣言の内容は「血栓回収療法のエビデンスは確立した。 全ての脳梗塞患者を救う体制を出来るだけ早く実現しよう。脳卒中になっても困らない国を目指して」というものでした。
その血栓回収療法は症状改善程度と閉塞血管が再開通するまでの時間には強い相関関係があります。つまり早く再開通するほど症状が改善しやすくなります。 その治療適応も2019年までは発症6時間以内でしたが2019年からは「救出できる脳組織」が残っていれば発症24時間まで治療が可能となりました。 「救出できる脳組織」が残っているかどうかは症状と画像検査から推測されます。簡単に血栓回収療法の適応を言うと①発症24時間以内②救出できる脳組織が残っている③発症前の生活状態がほぼ自立していることが前提となります。
手足の麻痺、うまく話せない、顔がゆがんでいるなどの症状があれば早めに相談しましょう。
竹村 篤人脳卒中センター長がThe Best Doctors in Japan 2022-2023に選出されました。当院では、西村 真実院長に続き2人目の選出です。 Best Doctors in Japan(ベストドクター)の選出はベストドクターズ社による調査が行われ、「自分自身または家族の治療を自分以外の誰に委ねるか」という観点から、医師同士の相互評価で決定されるものです。
今回の認定に対して竹村脳卒中センター長は「多くのご支持をいただきベストドクターの認定を受けることができました。本年度から脳卒中センター長に就任し幸先の良いスタートを切ることができたとおもっております。 これからもご期待に副える医療を提供できるように皆様と協力してこの病院を盛り上げていきましょう」と話していました。
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