南東北看護師コラム
ノロウイルスの感染を広げないために
感染管理認定看護師 熊谷 亜希
ノロウイルス感染症や食中毒は1年を通じて発生しますが、特に11月から2月にかけての冬場に多く発生する傾向があります。新型コロナウイルス感染症の流行により、アルコール消毒液で手指消毒をすることが多くなっていますが、ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいウイルスです。 手洗い・加熱・消毒をしっかりと行い家庭内感染を防ぎましょう。
①手洗いをしっかり行いましょう
手指についたウイルスは、石けんと流水で洗い流すことが最も重要です。帰宅後、トイレに行った後、食事やおやつの前など、家族全員で正しい手洗いを実践しましょう。 また、大人は子どもの口に入る食品を取り扱うため、調理の際なども手洗いを徹底し、手指を介してウイルスを広げないようにしましょう。
②加熱処理を行いましょう
食品に付着したノロウイルスを死滅させるためには、中心温度85℃~ 90℃、90 秒以上の加熱が必要です。
③消毒を行いましょう
消毒する場所 | 消毒方法 | 消毒薬の作り方 |
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嘔吐物や排泄物が直接付着した場所 | 1000ppm 消毒液(濃度0.1%)をしみ込ませた布等で拭きとる | 水:1L ペットボトル1本 + 塩素系漂白剤(塩素濃度6%):20ml(ペットボトルのキャップ約4杯分の原液) |
ドアノブ・手すり等多くの人が触れる場所 | 200ppm 消毒液(濃度0.02%)をしみ込ませた布等で拭きとる | 水:1L ペットボトル1本 + 塩素系漂白剤(塩素濃度6%):4ml(ペットボトルのキャップ約1杯分の原液) |
調理器具は、洗剤などで十分に洗浄した後に、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱するか、薄めた塩素系消毒液(塩素濃度200ppm)に浸して消毒します。
下痢やおう吐、発熱など、ノロウイルスによる食中毒と思われる症状がみられた場合は、無理をして仕事や学校に行こうとせず、医療機関を受診しましょう。
ノロウイルスと診断された場合はその旨を職場や学校に連絡し、医師の許可が出るまで自宅で休養します。
また、症状が治まってからもしばらくの間は便からウイルスが排出されますので、引き続き感染を広げないように手洗いなどの予防を徹底しましょう。