手根管症候群とは?~手がしびれる、そんな時~
整形外科 関 敬大
日常生活の中で手がしびれることはありませんか?しびれを起こす病気や原因には様々なものがありますが、その一つに手根管症候群と呼ばれるものがあります。 私たちの神経は脳・脊髄から左右に分かれて手足に分岐しますが、その中に手の方に向かう神経の一つである正中神経という神経があります。 それが手のひらの付け根にある骨と靭帯からできるトンネル(手根管)で圧迫されて起こるのが手根管症候群です。

原因は特発性(明らかな原因がわからない)のものが多いですが、手の使いすぎや骨折などの怪我による炎症、できものなどで起こることもあります。妊娠・出産期、更年期の女性によく発生すると言われています。
症状としては親指から中指、薬指の親指側の半分までのしびれが主であり、朝や車の運転時に起きることが多くあります。症状が進行すると母指球筋という親指の付け根の筋肉がやせてしまい、親指が他の指と向き合わせることができなくなることがあります。 そうなると物をつまめなくなり生活に支障が出てしまいます。
診断には手首の付け根を叩く、または両手の甲を合わせ続けることで指のしびれが出るかを確認する検査(Tinel sign, Phalen test)と画像検査、電気伝導速度検査といった方法があります。 画像検査ではレントゲンやMRI、超音波などで神経を圧迫する病気がないかを確認します。電気伝導速度検査では手首と肘から電気を流して正中神経を刺激し神経に流れる電気の速度を測定します。 手根管症候群の場合、神経を刺激した際の電気が流れる速度が低下したり、刺激されてから筋肉が反応するまでの時間(潜時)が遅くなったりします。

治療はビタミンB12などの飲み薬、炎症を抑えるための手根管内への注射などがあります。また、手の負担を減らすために安静にしたり作業量を少なくしたりすることも重要です。 それでも改善しない場合は手術で手根管の靭帯を切って圧迫をとります。(手根管開放術)手術は皮膚を切る場所に痛み止めの注射をして30分程度で終わるため、日帰りで行うことができます。 傷が治るのに7日から10日ほどかかりますが、その間に傷を濡らしたり汚したりすること以外に制限はありません。
手のしびれでお困りの際は一度当院の整形外科でご相談ください。また、使いすぎでしびれている可能性もありますので、くれぐれも自分の手をいたわることもお忘れなく。