脳ドックのおすすめ
脳神経外科医長 奥山 澄人
2019年12月中国の武漢で1例目の新型コロナウイルス感染者が報告されて以来、私たちの生活様式は一変し、この2年半の間、自宅中心の生活を余儀なくされてきました。屋外で運動する機会が減り、ストレスから自宅で間食、アルコール、喫煙の機会が増え、生活習慣病のリスクが高まっている印象です。 特に高血圧、糖尿病、高脂血症など指摘されたことのある方、喫煙、過度の飲酒習慣のある方で、脳検査を実施したことがない場合、脳ドックの受診をおすすめします。
脳ドックは何のために受けるのでしょうか?手術が必要な疾患を早めに見つけて治療を受けるというのが、多くの方のイメージではないかと思います。しかし、異常が見つかると怖い!知らない方が良い!という意見もあります。それでは実際、脳ドックではどんな異常がどの位の頻度で見つかっているのでしょうか?
2021年に当院の脳ドックを受診した方を調べると12.9%の方に何らかの異常が指摘されました。異常があった方の内、最も多いのは脳血管の狭窄病変で38%、引き続き、脳動脈瘤32%、陳旧性脳梗塞15%、脳出血9%の頻度でありました。 ほぼ全例で症状が出ていないため、6割の方はそのまま経過観察となります。しかし、その一方で、4割の方に改善すべき、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、過度の飲酒等)を認めています。 これらの生活習慣病はそのほとんどが改善可能で、脳ドックを契機にこれらとしっかり向き合うことで、脳卒中の予防が可能となります。脳ドックの意義は生活習慣病が深刻であることを認識し、それに対応していくことにあると思うのです。 一方で、実際に手術治療が必要であった方は脳ドックを受診した方の0.2%(1000人に2人)とわずかな頻度でありました。これらの方々も治療をすることで安心した生活を送ることができます。
コロナ禍でストレスの多い生活を感じている方は是非一度、脳ドックを受けてみてはいかがでしょうか?