ワンポイントリハビリ
心臓リハビリテーションって何?~生活編~
リハビリテーション科 理学療法士 多賀 聡達
前回(第2弾)は「心臓リハビリテーション」の運動療法について説明しました。第3弾となる今回は、運動と同等以上に重要な“生活指導”について、その内容や概要をご紹介します。
【生活指導とは】
生活指導とは、退院後の生活に必要な「疾病管理」のことを指します。その中には適切な運動や食事・服薬管理、ストレス管理なども含まれます。日々の様子を自己管理ノートに記録することで、体調の変化を捉えやすくなります。
そもそも、なぜ生活指導が重要なのか?
心臓リハビリテーションの目的には「再発予防・生命予後の延長、再入院の減少」などがあります。対象となる疾患の代表的なものとして心不全が挙げられますが、その心不全における再入院の原因を右図に示します。右図の①~④は不十分な疾病管理に起因するものであり、全体の6割を占めています。これらは生活指導を行うことによって再入院のリスクを下げることが可能です。
【自主トレーニングとBorg指数】
今回は“適切な運動”として自宅でも可能な自主トレーニングについて紹介します。その目安となるのがBorg指数です。前回もご紹介しましたが、Borg指数とは運動している本人がどれくらい「きつい」のかを表す指標です。運動の際はBorg指数11(楽である)~13(ややきつい)と感じる運動強度が適切とされています。 Borg指数と運動強度には相関があり、『心肺運動負荷試験』のような特殊な検査をしなくても自身で簡便に運動強度が設定できるため、自主トレーニングとして推奨されます。
【自主トレーニングの内容】
自主トレーニングの内容は有酸素運動と筋力トレーニングがありますが、今回は自宅で簡単にできる筋力トレーニングの例をご紹介します。回数やセット数は体力に合わせて実施してもらい、前述したBorg指数の「楽である~ややきつい」程度で実施することを推奨します。
※整形外科的疾患等がある方は、主治医にご相談頂き可能な範囲で行うようにしてください。
心不全における再入院の原因