認定看護師コラム
がん治療中の食事について
がん化学療法看護認定看護師 佐藤 あや
私は外来でがんの治療を行う患者さんと話すことが多いのですが、「食事は何を食べると良いのですか?」「なにか食べていけないものはありますか?」という内容の相談を受けることがあります。基本的には「食べていけない食べ物はないですよ」「おいしいと思えるものを体調に合わせて食べて下さい」と話します。消化器疾患の手術後の患者さんの場合は、便秘に注意し消化の良いものをと付け加えます。治療する患者さんもご家族も、食事に気を遣われる方が多いことがわかります。
がんの治療には多くのエネルギーや栄養素が必要になります。手術時の侵襲や術後の創の治癒課程で低栄養状態にあると、組織の修復が不十分になり、感染のリスクも高まってしまいます。手術前には栄養バランスをとりつつ高カロリー・高タンパクの食事で体力維持に繋げることが大切です。また、抗がん剤の治療を行う場合には、副作用の悪心や吐き気・味覚障害などから食事量が減ったり、食事の楽しみがなくなり、栄養状態も低下してしまうことが多くあります。そのような時は、無理をして決まった時間にバランスが整った食事を摂ろうとするよりは、食べたいと思った時にすぐに食べられるもの、好きなものを少量ずつ食べるようにするとよいです。さっぱりしたアイスクリームやゼリー、酢の物などをお勧めします。
患者さんのそれまでの食事の習慣や趣向、食事を準備してくれる家族など食事に関する背景は様々です。患者さんひとりひとりにあったアドバイスができるよう心掛けています。
これまでもがん治療と食事に関することについてお話しています。
過去の広報誌は当院のホームページに掲載していますので、是非ご覧ください。
●広報誌「みな・みな・ねっと」2018年12月号
認定看護師コラム がん治療と食事(がん治療中の味覚障害について)