認定看護師コラム
認知症って問題ですか?
認知症看護認定看護師 山田 愛実
今年の5月に発表された国の「2025年までの計画として70歳代の認知症の発症を10年間で1歳遅らせる」という方針は多くの議論を呼びました。私たち認知症に関わる専門職もこの発表に驚きを感じると同時に認知症が独り歩きをしてどんどん社会問題化している現状に心を痛めております。
そもそもこの方針がなぜこのように議論を呼んだのかというと、認知症には有効な治療手段が確立されていないこと、また認知症を予防する方法も様々な方法が提唱されていますが、これをすれば確実に予防できる、という方法が確立されていないことに起因すると考えられます。認知症は脳の加齢性変化により起こるものです。つまり、認知症を予防する究極の手段は“老いないこと”ということになります。では、“老いないこと”が可能なのでしょうか。現代では不老不死の方法はまだ確立されておらず、“老い”は誰にでもやってくるものです。同様に、認知症もまた誰にでもやってくるものと考えることが出来ます。現に、現代においては4人に1人が何らかの認知症を抱えていると言われています。
つまり認知症は私たちが生きていく中で確実に訪れる加齢性変化です。では認知症になったからと言って何かが変わるのでしょうか。認知症は1日1日と悪化するような病気ではありません。昨日出来ていたことが診断を受けたからと言って今日からできなくなる訳ではありません。また、その人自身の考え方、性格、生活習慣が急に変わるものでもありません。記憶することや日付の感覚が少しずつ難しくなりますが、人として何一つ変わりはしないのです。どうか皆さん、認知症を問題として捉えず、誰にでも起こる極当たり前の事として考えてみては頂けないでしょうか。認知症になっても、周囲の人々の協力を得ながら、当たり前のように普通に生活出来る社会を、私たちは目指したいと考えます。
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