「放射線科医」って何?
放射線科科長 鈴木 考
みなさん「放射線科医」をご存じでしょうか?多くの方は「胸部写真やCTなどの撮影に関わっているようだが、具体的に何をしているのか分からない。」あるいは「放射線治療」を思い浮かべるのではないかと思います。「テレビのラジエーションハウスを見て、知ってるよ。」という方もいるかと思います。放射線科医と一口に言っても、放射線診断医と放射線治療医という全く異なる二つの分野が含まれており、当院では放射線診断医のことを指しています。
放射線診断医の仕事は画像全般に関わるものです。各科の医師がオーダーしたCTやMRIなどの検査を、その目的に適う画像になるように撮影方法を考えたり、撮影された画像に異常所見があるかどうかをよく見て(読影)、その所見を画像診断報告書(読影レポート)に簡潔明瞭な言葉でまとめています。オーダー医と放射線診断医の少なくとも二人で画像を見ることで、ガンなどの重大な異常所見の見逃しを防いだり、病変を正しく診断するのに役立ったりしています。放射線診断医は基本的には全身の画像診断を行っているので、各科の先生が苦手な担当領域以外の体の部位についても異常所見を適切に拾い上げることで、医療の質を高めることに貢献しています。
放射線診断医のもう一つの仕事にインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)というものがあります。これは、カテーテル(細い管)を鼡径部(太腿の付け根)などの太い血管に挿入し病変部まで血管を伝ってカテーテルを進め、そこから抗癌剤や止血剤を注入したりする「血管内治療」や、カテーテルから造影剤(撮影用の薬)を注入しながら撮影する「血管造影検査」、CT検査を行いながら体内の深いところに針を刺して行き組織を採取する「CTガイド下生検」などの手技をいいますが、当院では現在行っておりません。
当院では放射線科の主な仕事としてPET検査があります。この検査は、「わずかに放射線の出るFDG(ブドウ糖に近い成分の薬)を注射した後に、専用の機械で全身を撮影します。ガンの多くは正常の細胞よりもブドウ糖をたくさん利用する性質があるので、ガンにはFDGも多く集まります。FDGの集まりを画像化することで比較的容易にガンを見つけることが出来る。」という仕組みです。PET検査が苦手とする種類のガンはありますが、「1回の注射(低侵襲!)で全身をくまなく調べることが出来る」というのがこの検査の大きな利点です。当院ではガンの進行度や再発の有無などを調べる保険診療と、自費診療のPETがん検診を行っております。PETがん検診ではPET、CTなどの画像検査のほか、腫瘍マーカーを含む血液検査なども行い総合的に調べます。詳細はホームページにありますので、是非ご覧下さい。