おしっこのモレ(尿失禁)を自分で改善するには
副院長 人見 浩
おしっこの問題(障害)は、色々とありますが今回は、おしっこのもれ(尿失禁)についてのお話です。基本的には、泌尿器科医を受診して相談なさるのが一番なのですが、中々、恥ずかしくて受診出来ない方もおられると思いますので、ご自分で出来る運動を数多くある中から、有効だと思われる方法を今回は紹介することにしました。
尿もれの原因は、骨盤底筋の衰えで起こります。骨盤底筋とは、恥骨尾骨筋や恥骨腸骨筋、尾骨筋などで構成される骨盤の底部(下部)に広がるひし形をした筋肉群で、尿道や膣、肛門を取り巻くようにあり、子宮や膀胱など骨盤の上にある内臓を下から支えるとともに排尿、排便をコントロールしています。
従来の骨盤底筋体操で効果が出る人も居ますが、効果を実感できない人も多く居るようです。
骨盤底筋の衰えの原因の一つに、足の弱体化があると思います。足の指の筋肉は、全身の筋肉と深くかかわり合っています。小指を踏みしめるとお尻の側面にある中臀筋、親指を踏みしめると太ももの内側にある内転筋、全部の指を曲げると骨盤底筋に力が入ります。つまり、足指を曲げる力が弱くなると骨盤底筋も弱くなるのです。
それでは、具体的にその方法を御紹介します。「骨盤リズム弾み」(図)という方法ですが、両足を肩幅に開いて立ち、つま先立ちの状態から、膝を使って腰を上下に弾ませるように動かす筋力トレーニングです。
不安定なつま先立ちになるので、運動中に体がふらついてしまう人は、壁に手をついたり、イスに手をかけたりして安全に行って下さい。また、膝が痛む人や骨盤臓器胱と診断されている人は、この方法は残念ながら勧められません。
●骨盤リズム弾み
かかとを床から5~10cm上げる。つらい人は床につけてもいい。
両足を肩幅程度に広く開き、つま先立ちになる。つま先立ちのまま、ひざを曲げて腰を落とす(①の姿勢)。次に、ひざを伸ばして腰を上げ、体をまっすぐに伸ばす(②の姿勢)。この①と②の動作を5回繰り返してから、①の姿勢になり、5秒間、同じ姿勢を保持する。