ドイツ International Neuroscience Institute留学記(2)
副院長・脳神経外科部長・脳卒中センター長 西村 真実
留学終盤に近づき、これまで私が経験して治療困難だった脳動脈瘤手術症例についてBertalanffy教授に相談するチャンスを頂きました。教授の答えは明確で、①クリッピング手術で治療が可能かどうかをシンプルに考えること、②患者様の最終的なゴールを良く考えること、③手術の手段にとらわれすぎずに臨機応変に対応することが大切であると言われました。私はこれまで難しい動脈瘤の症例に対して、どのような準備をして手術をすべきかと準備ばかりに気をとられ、動脈瘤の根治がゴールであるべきであるのに、その準備がゴールになっていたと反省させられました。
本留学は、折しもイギリスのEU離脱、天皇生前退位論、アメリカ大統領選、そしてヨーロッパ中心に多発したテロ事件など激動の時期に外から日本を見直す機会にもなりました。日本がいかに恵まれた環境にあるかを実感できましたし、外国人も思考経路は同じであること、一方日本人は地方ごとで全く考え方が違うこともわかり、これは非常に面白い体験でした。
公私にわたり温かく迎え指導してくださったBertalanffy教授に感謝し、先生の患者さんと手術に対する真摯でありかつ謙虚な態度を忘れずに精進して参ります。
Bertalanffy教授と:手術室にて
最後にこの貴重な機会を与えてくださった東北大学脳神経外科冨永教授および宮城県対脳卒中協会、当院渡邉理事長、松島院長、水野理事長特別補佐監兼執行本部長、私の留守を守ってくれた現災害医療センター長・救急センター科長平野孝幸先生はじめ当科スタッフに深謝いたします。
そしてなによりも、不在中ご不安とご迷惑をおかけした患者皆様にお詫び申し上げます。この留学の経験を活かし、地域の患者皆様に貢献すべく今後よりいっそう努力して参りますので、よろしくお願いいたします。