ウダヤナ大学脳神経外科教授就任によせて
理事長特別補佐監兼執行本部長・低侵襲脊髄手術センター長 水野 順一
スアスティカ学長から称号を贈られる
水野本部長
贈られた教授の称号
私が初めてインドネシアの脳神経外科と関わり合いを持ったのは、10年以上前に当時愛知医科大学にて1人の留学生を受け入れたことに始まります。Dr. Mahadewa Tjokorda先生というバリに1つだけある国立大学脳神経外科医でした。彼は1年間愛知医科大学で私から脊髄外科を学んで帰国しました。その後インドネシア脳神経外科医としては稀な脊髄外科専門外科医として活躍し、現在は准教授になっています。彼の教室にはDr. Sri Maliawan教授が以前から教鞭をとっておられ、Dr. Mahadewa Tjokorda先生の留学を機に現地での手術依頼や講演を通してこの10年間日本脳神経外科の手術手技や知識について伝えてきました。昨年は新百合ヶ丘総合病院低侵襲脊髄手術センターに、Dr. Dewa Putu Wardehana Wisnu先生が3ヶ月留学に来ました。彼はDr. Maliawan教授の娘婿で、大変優秀な若手脳神経外科医です。日本脳神経外科は欧米やアジア先進国と比較してもそん色ない高度な医療水準がありながら、発展途上国からの留学生受け入れが進んでいません。
また彼らも日本ではなく、韓国、中国、シンガポールなどに勉強に行くことを選択しています。そんな中で私が10年間にわたりウダヤナ大学脳神経外科に貢献してきたことが評価されたのか、日本人で初めてインドネシアのウダヤナ国立大学脳神経外科教授に就任する栄誉をいただきました。2月9日に大学講堂にて100名余の職員が参加して、この名誉をいただくセレモニーが行われました。学長からは教授就任の証書と記念品をいただき、 Dr. Maliawan教授はじめ大学の教授達に一緒にお祝いをしていただきました。今後も両国脳神経外科脊髄外科の橋渡し役を務め、インドネシアの脳神経外科の一層の成長に貢献できればと考えています。稿の最後に当たり、この様な活動を一貫して支持していただいた渡邉一夫理事長また総合南東北病院(岩沼)の皆さんには心より感謝いたしております。
※ウダヤナ大学:1962年にインドネシア・バリ島南部のデンパサルに設立された最初の国立総合大学。文系・理系合わせて13学部あり約2万人の学生が在籍している。特にバイオテクノロジーや医科学、社会科学などの分野に強く、同国では常に10位~15位にランクされ、日本の大学とも積極的に共同研究や交流を進めている。