山歩き(健康ウォーキング)と禁煙のすすめ
脳神経外科科長 松山 純子
最近、このみなみなネットに当院のお二人の先生方から健診やドックを受けましょうのすすめのお話がありました。それらは、すでに病気になったものを、早期に見つけて、必要なら治療しましょうというお話ですが、今回、私からは、その裏側の側面、つまり、病気にかからないためのお話をしたいと存じます。もちろん、病気にはいろいろな種類の病気があり、原因も様々で遺伝因子のように気を付けていても罹患するものもありますが、心血管疾患(脳卒中も含めて)や、一部のがんは、生活習慣と多いに関係あります。
私もこの3年半くらい、健診にかかわっていて、様々な人々の問診をとっていると、日本では、なんと、タバコを吸う人が結構多いことに驚かされています。私自身は吸ったこともなく、煙も避けておりますが、毎週、多くの方々に禁煙の大切さを説明しています。多くの健診に来られる方は、禁煙したいと思っていても、再び誘惑があると負けてしまいました、という方々が多いようです。実際にタバコを吸っていると、動脈硬化が原因で起こる心臓の病気(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中などにかかりやすくなります。また、肺がんだけでなく、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎臓がん、子宮頸がんの危険性も増加し、慢性閉塞性肺疾患の危険性も増加します。「長年吸ってきたから、今さら禁煙しても無駄だ。」などと言っているあなた、そんなことはありません。肺の機能は禁煙をはじめて2週間?3か月で回復がみられてくるそうです。また、食べ物もおいしくなることでしょう。更にタバコ購入に費やしていた分、きっと貯金も増えるでしょう。
一方、私自身も森林浴を兼ねた山歩きは大好きですが(仕事の関係上、日直などのない休日のみとなってしまいますが)、ドイツでも気候性地形療法(クアオルト)に端を発し、日本でも数か所で行われています。私は決してその専門でも何でもありませんが、自分自身の健康のためなどに、参加してみたり、通常の山歩きをしたりしています。何が良いかといいますと、太陽光を適度に木漏れ日などで浴びてビタミンD3の合成、骨の強化、免疫力活性、清浄な空気(森林の中で)を吸うことで、呼吸器系、アレルギーの改善、冷気と風にあたりながら、適度な上り坂をあるくことで、持久力強化、免疫システムの改善、血液循環機能向上、体温調節機能向上、可視光線を浴びることで体内24時間リズムの調整と深い睡眠が得られるとされています。実際のクアオルトウオーキングでは上り坂では160?年齢の目標心拍数を目安に体表面は冷たくさらさらにするようにうまく汗は蒸発させながら歩いているそうで、続けた方々は、もともと病気のあった人も、「体重、血糖、血圧3拍子で改善したよ。」との声もきかれます。個人的には水泳などもしていますが、これに黄緑色野菜や青背の魚、大豆類などを中心にした食事も組み合わせると鬼に金棒かもしれません。ただ、持病のある方々は運動の強度については、主治医の先生とよく相談してください。また食べ物も、常時服用されているお薬がある場合は、相互作用の観点から、主治医の先生と相談してくださいね。