がん検診を受けましょう!
副院長・外科科長 吉野 泰啓
1.ご存じの通り日本人の死因第1位は「がん」で、2015年にがんで亡くなった方は37万346人(28.7%)でした。高齢化に伴いがんで亡くなる方は増え続けており、特に40歳以上の方は2人に1人ががんで亡くなっている計算になります。詳細は割愛しますが、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、子宮頚がんの5つのがんは、検診を受けることで早期に発見でき、さらに治療を行うことで死亡率が低下することが科学的に証明されています。しかし未だがん検診の受診率は低く、最も高い肺がんでも47.5%と50%にも達していません。積極的にがん検診を受けて早期発見できれば治療も比較的容易で、再発する可能性も低くなります。是非がん検診を受けましょう!
2.増えている大腸・直腸がん:食の欧米化に伴い罹患率(がんにかかること)、死亡率とも増えており、ある程度進行していても手術で取りきれれば治る可能性が高いがんでもあります。大腸がんの母地はポリープであることが多く、その大きさが1cm以上になるとがんが発生すると言われておりますので、1cm以上のポリープは内視鏡で積極的に摘出することが究極の予防になります。しかし検診で大腸内視鏡を行うことは現実的でないので、検診では便潜血反応を行っています。これは大腸がんが進行するとそこから出血し始まるため便中の血液の有無を検査して、陽性の方に二次検査(大腸内視鏡)を受けてもらうという方法を行っています。
3.日本人に多い胃がん:胃がんは特に日本人に多いがんで、1998年に肺がんに追い抜かれるまでがん部位別死因のトップでした。現在は2位ですが、罹患率は男性でトップで、患者数は大腸・直腸がんと共に最も多いがんです。日本の胃がん治療、胃がん検診のレベルは世界一で、そのおかげで早期に発見される方が増えてきました。早期胃癌の5年生存率は100%に近いため胃がんで亡くなる方は増えていないのです。胃がん検診では胃X線検査(透視)か胃内視鏡を行いますが、正診率や確実性から是非胃内視鏡を受けることをお勧めします。
4.日々外来診療を行っていると、定期的通院をしている方の中に「私は血圧と糖尿を診てもらっていて毎回採血してもらっているから検診はしなくて良い」と言うように診療と検診の違いをわかっていない方が大変多く理解していただくのに苦労します。血圧測定や採血ではがんがあるかどうかは全くわかりませんので、面倒がらずにがん検診を受けていただき、早期発見、早期治療を受け、健康で幸せな生活を送れるようにしましょう。