ワンポイントリハビリ
高齢者の歩行の特徴
リハビリテーション科 理学療法士 佐藤 佑香
今回は、高齢者の歩行の特徴についてご紹介します。
一番の特徴として、若者に比べると歩く速度が遅くなることが挙げられます。特に、65歳以降から急速に歩く速度が遅くなるとされています。これは、歩く時のエネルギー消費を最小限に抑えようとするからです。
加齢に伴い、関節のこわばりや全身の筋力の衰え、呼吸機能および心肺機能の低下などがみられるようになります。原因としては、脳梗塞や骨折、肺炎などの疾患によるもの、純粋な加齢によるもの等が挙げられます。関節のこわばりは、股関節や膝関節、足関節だけでなく脊柱にもみられます。そのため、脚を動かせる範囲が狭くなり、思うように歩幅を大きくすることが難しくなります。また、全身の筋力の衰えにより片脚でバランスを保とうとするとふらつきやすくなってしまいます。さらに、呼吸機能および心肺機能の低下により息切れや動悸などが起き、疲れやすくなります。これらの複数の原因によって、徐々に思うように身体が動かなくなってしまいます。
以上のことから、転倒しないように歩幅が狭くなり、一歩で進める距離が小さくなることで、若者と比べると歩く速度が遅くなるのです。安全に歩行するために、全身筋力トレーニングやストレッチを行い、関節のこわばりや筋力の衰えを改善することが大切となります。