ワンポイントリハビリ
糖尿病について ~part2 糖尿病と運動療法~
リハビリテーション科 理学療法士 神林 瑠依
前回、Ⅱ型糖尿病※の治療は運動療法・食事療法・薬物療法の3つが重要であるとお話ししました。今回は、Ⅱ型糖尿病の運動療法について説明します。特に有効と言われているのが、有酸素運動とレジスタンストレーニングです。
※食べ過ぎ、運動不足などが原因で血液の中のブドウ糖が多くなる病気。放置すると重篤な合併症を引き起こすことがある。
●有酸素運動
有酸素運動とは呼吸を続けながら行える運動です。代表的なものはウォーキングやジョギングです。糖尿病の有酸素運動は、ただきつい運動を行えばいいというものではありません。「ややきつい」程度の運動を20分~60分ほど、週3回以上行うことが良いとされています。食事の後運動をする場合は1時間~2時間程、間をおいてから行いましょう。
また、脈拍を目安にして運動を行うこともできます。まず、①安静時の脈拍 ②最大脈拍 ③運動中の目標脈拍を測定・計算します。①安静時の脈拍は、手首で測ります。安静時の脈拍=15秒間の脈拍×4+10です。②最大脈拍=220-年齢です。③運動中の目標脈拍=0.6×(最大脈拍-安静時の脈拍)+安静時の脈拍です。この目標脈拍になるように運動してみましょう。
みなさんもこのような条件に合うように、日常生活でも少し遠回りの道を選んで買い物に 行ったり、晴れた日には散歩をしてみてはいかがでしょうか。
●レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングとは、筋肉に負荷をかけて筋力・筋パワー・筋持久力といった骨格筋機能の向上に主眼をおくトレーニングの総称と定義されています。
筋肉は最も多くブドウ糖を消費する器官です。増えることで血糖値が下がることにつながるのです。ここでは簡単な運動を3つ紹介したいと思います。
1.立ち上がり運動
イスに座ってその場で、「立ち上がる⇔座る」を繰り返します。ゆっくり行うと効果的です。
2.屈伸運動(スクワット)
軽く足を開いて呼吸を止めずにゆっくり膝を「曲げる⇔伸ばす」を繰り返します。最初は、壁に手をついて、浅く曲げる所から始めましょう。
3.もも上げ
椅子に座って片足ずつゆっくり上げ下げします。テレビを見ながらでも行うことができる運動です。
●最後に
運動習慣のない方は上の運動でも、きつく思えるかもしれません。無理せず徐々に回数とセットを増やして行きましょう。