ワンポイントリハビリ
糖尿病について ~part1 糖尿病の基礎知識と運動の概要~
リハビリテーション科 理学療法士 弓田 顕弘
今回は、糖尿病のタイプや合併症などの基礎知識を中心にお話しします。
●糖尿病のタイプ
Ⅰ型糖尿病:膵臓の細胞が破壊されることでインスリンという物質が出にくくなります。幼少期~思春期に多く急激に症状が出現する傾向にあります。
Ⅱ型糖尿病:過食・運動不足・ストレスなどの生活習慣に加齢が加わり、インスリンが働きにくくなります。特徴として中高年の男性に多く太り気味の方が多い傾向にあります。
●糖尿病3大合併症
糖尿病性網膜症:放置すると、硝子体出血や網膜剥離をきたし失明する可能性があります。
糖尿病性腎症:腎臓の障害でおしっこが作られなくなります。放置すると人工透析や腎移植をしなければならない状態に陥ります。
糖尿病性神経症:神経が障害され両手足などの先端の温度や痛みを感じにくくなります。放置すると、足が腐って切断しなければならなくなります。
●糖尿病の治療
糖尿病の治療は大きく運動療法・食事療法・薬物療法の3つに分類することができます。第1段階として適切な食事や運動を行い生活習慣の改善を図ります。それでも血糖コントロールが不良の場合には、投薬を追加しコントロールを図ります。
●型別の運動療法について
Ⅰ型糖尿病:インスリン機能回復が望めないため、低血糖の予防に配慮し、生活の中に運動を取り入れるようにします。
Ⅱ型糖尿病:インスリンの働きを高めるために有酸素運動と筋力強化を中心とした運動を行います。普段の生活の中に無理なく取り入れられる運動を継続して行うことが大切です。
Ⅰ型糖尿病 | Ⅱ型糖尿病 | |
---|---|---|
年 齢 | 幼少期~思春期 | 中高年 |
体 型 | 痩せ型 | 肥満型 |
発症の仕方 | 急激に発症 | 緩やかに発症 |
発症の原因 | 膵臓の細胞が破壊される | 生活習慣・加齢・遺伝 |
治療方法 | インスリン注射 | 運動・食事・薬 (場合によってはインスリン注射) |
(表:Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病の比較)
糖尿病の運動療法を行う前に、まずは、糖尿病の基礎知識を身に付けることが大事です。次回は、糖尿病の運動療法について詳しく説明していきたいと思います。