帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛について
副院長・救急センター所長 赤間 洋一
皆さんは帯状疱疹と言う病気を御存知ですか。強い痛みを伴う水疱状の発疹が出現する病気です。この発疹は、体幹部は帯状に広がりますが、下肢では上下に広がります。頭から足底まで体のどの部分にも発生します。しかし、左か右どちらか一方の側に限られます。
この病気の原因は子供の頃にかかった水疱瘡のウィルスが神経の根もとに残っていて、そのウィルスが神経にそって増殖したものです。ストレスや病気などで免疫力が低下したときに発生します。
初め強い痛みが先行し、その数日後に水疱状の発疹が出現します。水疱が形成される前に帯状疱疹と診断するのは難しいと思います。特に、頭や左胸部に出現した場合は脳疾患や心臓疾患と間違われることもあります。
帯状疱疹の治療に関しては、初期の段階では抗ウィルス剤や鎮痛剤(痛み止めの薬)が主体となります。眼の周囲に出来た場合は角膜潰痛を形成し、場合によっては失明することもあります。通常痛みは1~2週間程度で治ります。また、疱疹も痂皮形成後、1ヶ月位で色素沈着となり、2~3ヶ月で元の皮膚の状態に戻ります。子供の頃にかかった水疱瘡と違い、帯状疱疹は他人に移ることがないので心配ありません。
疱疹が治って皮膚の状態がもとに戻っても強い痛みが残ることがあります。これが帯状疱疹後神経痛です。帯状疱疹患者全体の1~2割程度が帯状疱疹後神経痛へ移行します。痛みが残りやすい条件としては、①症状が強い、②高齢者、③痛みの部位が顔面や胸部、④基礎疾患(糖尿病や癌)がある、⑤痛みに弱い性質などです。これらの条件が3つ以上存在すると危険です。
一旦、帯状疱疹後神経痛になってしまうとその治療は大変困難です。最近、神経因性疼痛の治療薬が出ておりますが、高価な割に効きめは不十分です。やはり、神経痛には神経ブロックが有効です。神経ブロックは当院では内科ペインクリニック外来で行っております。しかし、帯状疱疹後神経痛となって時期が経ってしまう(3ヶ月以上)と神経ブロックでも効果が得られない場合があります。なるべく早い時期に神経ブロックを行うことが大切です。
帯状疱疹と思ったら、内科ペインクリニック外来を受診してください。