薬局だより
不眠症について
薬局 薬剤師 早坂 和也
最近、睡眠に関する問題を抱えている人は増加傾向にあります。5人に1人が睡眠に関してなんらかの悩みを抱えており、10人に1人は「不眠」に悩んでいると言われています。そこで今回は不眠症について紹介したいと思います。
不眠症とは?
たとえ十分な睡眠時間を確保できていたとしても、目覚めたときにだるさや不快感が残るのであれば不眠症かもしれません。逆に、睡眠時間が短くても目覚めが爽快で日中も元気に活動できるのであれば不眠症とは呼びません。体力の回復を伴わない睡眠で、日常生活に支障をきたしていることが、不眠症として定義される条件です。
睡眠は心と体の休息です。不眠に陥ると動悸、息切れ、頭痛、めまい、肩こり、慢性疲労など、体調不良の原因となります。原因は様々で、身体的要因(体調不良やかゆみなど)、環境的要因(騒音など)、精神的要因(ストレスなど)等があります。
不眠症のタイプ
・入眠障害:なかなか眠れない
・熟眠障害:眠っているのに、朝すっきりしない
・中途覚醒:眠っても途中で起きてしまう
・早朝覚醒:朝早く起きてしまい、その後眠れない
不眠症のお薬は?
不眠症の治療で使用するお薬のほとんどが、感情の変化やストレスによる脳神経の興奮を抑えることで眠りを誘う作用を持っている薬です。お薬にもいくつか種類があります。
超短時間型 ……
睡眠導入剤ともいわれ、寝つきの悪い入眠障害に用いられる(ルネスタ、マイスリー、ハルシオンなど)
短 時 間 型 ……
薬の作用が現れるまでの時間が比較的短く、作用時間も短めで入眠障害、熟眠障害に用いられる(レンドルミン、リスミーなど)
中 時 間 型 ……
持続時間が比較的長いのが特徴で、早朝覚醒などに用いられる(ユーロジン、サイレースなど)
長 時 間 型 ……
うつ病などに伴い不眠が現れる場合に用いられることがある(ドラールなど)
その他にもメラトニンの分泌を促進するロゼレムというお薬もあります。作用がマイルドなので、比較的高齢の方にも使いやすいお薬です。また、オレキシン受容体をブロックするベルソムラというお薬もありますが、こちらは持ち越し効果(※)が少なく安全性が高いのが特徴です。
※お薬には、次の日もぼーっとする持ち越し効果や、薬が効いている間に起こった出来事を覚えていない健忘などの副作用もありますので、医師や薬剤師の説明を良く聞き正しく飲むようにしてください。