薬局だより
インスリンについて②
薬局 薬剤師 東 宏子
前回に引き続き、インスリン製剤について詳しく説明していきます。
(1)超速効型
食後のインスリン追加分泌目的のインスリン製剤です。食事直前に注射して食後の血糖値の上昇を抑え、食後高血糖を改善します。注射してから効果が出るまでの時間は10~20分と早いため、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能です。また、インスリンの作用が持続する時間が3~5時間と短いため、次の食前や夜間の低血糖を減らすことができます。
(2)速効型
食後のインスリン追加分泌目的のインスリン製剤です。食事の約30分前に注射して食後の血糖値の上昇を抑制し、食後高血糖を改善します。効果が出るまでの時間は30分~1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5~8時間です。
(3)中間型インスリン製剤
基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。効果が出るまでの時間は1~3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18~24時間です。
(4)混合型インスリン製剤
超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。効果の発現は超速効型または速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は中間型インスリン製剤とほぼ同じになります。
(5)時効型溶解インスリン製剤
基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。効果が出るまでの時間は1~2時間で、インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日にわたります。
最後に
2型糖尿病の場合、インスリン療法においても基本は食事療法・運動療法がきちんとできていることが必要です。インスリン療法について少しでも不安や疑問があれば、遠慮せずに主治医または薬剤師に相談するようにしましょう。安心・信頼してインスリンの自己注射に臨めることは、治療の継続と成功への大切な要素です。