薬局だより
インスリンについて①
薬局 薬剤師 東 宏子
糖尿病の患者さんの中には、インスリン注射を使っている人が少なからずいらっしゃると思います。今回はインスリンとその製剤について説明します。
インスリンとは
インスリンは、すい臓でつくられています。食事によって血糖値が上がる(血糖の量が増える)と、すい臓の細胞がこの動きをすばやくキャッチして、すぐにインスリンを分泌します。血糖が全身の臓器にとどくと、インスリンの働きによって臓器は血糖をとり込んでエネルギーとして利用したり、たくわえたり、さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりするのです。こうして、食後に増加した血糖はインスリンによって速やかに処理され一定量に保たれます。もし、インスリンの量が少なかったり、分泌されても上手に働くことができなくなると、血糖が一定の値を超えて高い状態が続きます(高血糖)。この状態が糖尿病です。
インスリンを使う糖尿病患者さん
○1型糖尿病…
インスリンが非常に不足しているか、または全くないため、この調整を自然に行うことができません。そこで、1型糖尿病ではインスリン製剤を自己注射することで体の外から補い、健康な人と同じ血糖値の変動パターンに近づけて血糖コントロールを図ります。
○2型糖尿病…
1型糖尿病が疑われたり血糖コントロールが経口薬だけでは上手くいかない場合や妊婦さんなどに用いられます。
★従来、インスリン療法は血糖コントロールが上手くいかない場合の最後の手段とされていましたが、インスリン製剤やその治療方法が進歩してきているため、現在は必ずしも最後の手段というわけではなくなってきています。さらに近年、合併症の予防を目的に「早期から良好な血糖コントロールを実現する」という治療の概念に基づいて積極的なインスリン導入が推奨されるようになり、1型糖尿病のみならず2型糖尿病にも広く受け入れられ活用されています。現在では、様々な製剤の種類や方法がありますので、自分の状態やライフスタイルにあった方法がきっとみつけられます。
インスリンの種類
インスリンは効果発現の速さから超速効型、速効型、中間型、持効型、混合型(超速効型または速効型と中間型を混ぜたもの)製剤に分類されます。
超速効型や速攻型は、食後の血糖値をすばやく下げる効果があり、時効型はほぼ1日中効き、1日を通して血糖値を低く抑えます。中間型や混合型は、速攻型や時効型のいいところを組み合わせたような効き方をします。どのタイプの薬をどれくらい注射するかというのは、患者さんの状態や血糖値の状態によって異なります。
次回は、インスリン製剤についてもっと詳しく説明していきます。