薬局だより
塗り薬 ~軟膏・クリーム・ローションの使い分け~
薬局 薬剤師 東 宏子
ドラッグストアに塗り薬を買いに行くと、軟膏・クリーム・ローションなど様々な種類のお薬がありますよね。今回は、それらの塗り薬の違いについて特徴や欠点などを交えて紹介したいと思います。
軟膏
油脂性基剤の塗り薬です。
掻きむしった湿疹やひび割れした部位の湿疹などに塗ってもさほど刺激にならず、いろいろな状態の皮膚に使用できます。
特にアトピー性皮膚炎などのカサカサとした肌が特徴の疾患に適しています。
皮膚を保護する作用は強いですが、皮膚の透過性があまり良くないのが欠点です。また、べたつき感があるため、使用感・使用部位によってはあまり好まない方もいらっしゃいます。
クリーム
水と油を混ぜ合わせてある乳剤性基剤の塗り薬です。
軟膏ほどベタつかず、皮膚へ浸透しやすいのが特徴です。厚くなった皮膚湿疹、硬くなった痒疹(非常に痒いポツポツとした赤い皮膚のもりあがりが散らばってできる病気)などに適しています。
ただし、水泡、びらん、潰瘍などのじゅくじゅくした湿潤病変に使用すると、薬の添加物が刺激になってしまうことがあります。さらに、湿潤病変にクリームを塗ると、一度吸収された湿潤液が再び病変部に移行して症状が悪化することもあります。また、一般にクリーム剤は保湿のイメージが強いですが、冬など乾燥している部位への塗布により「過乾燥」がおこることがあります。
ローション
水やアルコールに薬の成分が入っています。
即効性があり、かゆみ止めや痛み止めに適しています。使用感がさらさらとして好まれる反面、持続時間が短いという欠点もあります。
※治療中の方や、湿潤やただれのひどい方、薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある方等は使用前にかかりつけの医師にご相談ください。