薬局だより
脂質異常症について
薬局 薬剤師 梶原 光太
皆さんは『脂質異常症』という病気をご存じでしょうか?脂質異常症とは血液中のコレステロールや中性脂肪が高い状態のことを言い、今までは『高脂血症』と呼ばれていました。今月は脂質異常症についてご紹介します。
『高脂血症』が『脂質異常症』になったわけ
血中のLDLや中性脂肪が高い状態は、動脈硬化を引き起こしやすく、これまではその状態のことを『高脂血症』と呼んでいました。しかし、動脈硬化を引き起こす要因としてHDLの低下もあるため、“高”脂血症と呼ぶのは不適切だとして、2007 年より日本動脈硬化学会で呼び名を『脂質異常症』に変更しました。
コレステロールの種類
コレステロールは5つに分けられ、その中には皆さんがよく知っている、悪玉と呼ばれるLDLと、善玉と呼ばれるHDLがあります。LDLはコレステロールを組織に与える働きがあり、HDLは逆にコレステロールを吸収する働きがあるため、その性質から悪玉や善玉と呼ばれています。
LDLは少ないほうがいいの?HDLは多いほうがいいの?
最近ではLDLが基準値以下でも心筋梗塞となることが少なくないことが分かり、またHDLが高くても動脈硬化になることが分かりました。そのため注目されているのが「LH比」です。これはLDL÷HDLで求められ、ほかに病気がない場合はこの値を2.0以下にすることが望ましいといわれています。LDLとHDLが共に正常値でもLH比が高値となることもあるため、両者のバランスが大切です。
LDLを減らそう!HDLを増やそう!
LDLを減らすには、①腹八分目を心がける ②LDLを減らす食材(大豆や豆腐、海藻、きのこ、魚類など)の摂取 ③LDLの酸化を防ぐ(禁煙、緑黄色野菜やナッツ類の摂取)を行いましょう。③は動脈硬化や血栓ができるのを防ぐことにつながります。また、HDLを増やすにはジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。少し歩いただけで息切れがしたり、階段などの途中で足が上がらなかったりすると動脈硬化が進んでいる可能性があるため、早期発見にも役に立ちます。
脂質異常症の治療薬
高コレステロール血症には一般にスタチン系と呼ばれる、コレステロールの合成を抑制する薬剤が用いられます。また中性脂肪が高い場合は、フィブラート系という薬剤を使用します。これらの薬剤を使用していると、まれに横紋筋融解症という副作用を引き起こす可能性がありますので、体のだるさや筋肉痛、赤色の尿などの症状がある場合は医師や薬剤師に相談してください。
スタチン系…メバロチン、リポバス、ローコール、リバロ、クレストール、リピトール
フィブラート系…ベザトール、リピディル など
その他…ゼチーア、シンレスタール、クエストラン、エパデール、ロトリガ など