薬局だより
医薬品副作用被害救済制度について
薬局 薬剤師 梶原 光太
私たちは病気を治す目的でお薬を使用しますが、お薬を適正に使用していても副作用が起こる場合があります。そのような場合に医療費等の給付を受けられる制度があることを皆さんはご存じでしょうか?今月は『医薬品副作用被害救済制度』についてご紹介します。
医薬品副作用被害救済制度とは?
医薬品副作用被害救済制度とは医薬品医療機器総合機構法に基づく公的な制度で、医薬品(病院で処方されたものの他に薬局で購入したものも含む)を適正に使用したにも関わらず、副作用によって一定レベル以上の健康被害が生じた場合に医療費等の給付を行うものです。
医薬品の「適正な使用」とは、原則として医薬品の容器あるいは添付文書に記載されている用法・用量及び使用上の注意に従って使用することを示します。
給付の請求
医療費等の給付の請求は、健康被害を受けた本人(または遺族)等が請求書と医師の診断書等を医薬品医療機器総合機構に送付することで行うこととなっています。給付の種類によって、請求の期限、請求者、請求に必要な書類が決められています。
どのような副作用が生じた場合に救済の対象となりますか?
救済の対象となる健康被害は、医薬品を適正に使用したにも関わらず発生した副作用による疾患(入院治療を必要とする程度)、障害(日常生活が著しく制限される程度)及び死亡です。
救済の対象とならない場合はありますか?
以下のような場合には救済の対象になりません。
①対象除外医薬品による健康被害の場合
・がんなどの特殊疾患に使用される医薬品 例:抗がん剤、免疫抑制剤など
・人体に直接使用されないものなど副作用被害発現の可能性が考えられない医薬品
例:動物用医薬品、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤など
②法定予防接種を受けたことによるものである場合
(別の救済制度があります。なお任意に予防接種を受けたことによる健康被害は対象になります)
③医薬品の製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合
④使用目的・方法が適正と認められない場合
(薬剤の本来の効能・効果や用法に従わずに使用された場合など)
⑤健康被害の程度が軽度な場合
⑥請求期限が経過した場合