薬局だより
感染性胃腸炎について
薬局 薬剤師 梶原 光太
本格的な冬が到来しましたが、この季節になると「感染性胃腸炎」や「ノロウイルス」という言葉をよく聞くと思います。ノロウイルスによる感染性胃腸炎は12月~翌年1月が感染のピークになる傾向にありますので、感染しないよう注意が必要です。
感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどが原因となって引き起こされる胃腸炎のことです。原因となるウイルスには「ノロウイルス」、「ロタウイルス」、「サポウイルス」、「アデノウイルス」などがあり、主な症状は腹痛、下痢、嘔吐、発熱です。「ロタウイルス」、「アデノウイルス」による胃腸炎は乳幼児によく見られます。
ノロウイルス、ロタウイルスによる感染性胃腸炎は1~2日間の潜伏期間(感染から発症までの時間)を経て、腹痛、下痢、嘔吐といった症状が現れます。発熱は軽度な場合が多いです。通常はこれらの症状が1~2日続いたあと治癒することが多いですが、ロタウイルスが原因の場合は5~6日続くことがあり、便が白色になることもあります。
どうやって感染するの?
ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、そのほとんどが口からの感染で、次のような感染経路があります。
- 感染した人の便や嘔吐物に触れた手指を介してノロウイルスが口に入った場合
- 便や嘔吐物が乾燥して、細かな塵と舞い上がり、その塵と一緒にウイルスを体内に取り込んだ場合
- 感染した人が十分に手を洗わず調理した食品を食べた場合
- ノロウイルスを内蔵に取り込んだ牡蠣やシジミなどの二枚貝を、生または不十分な加熱処理で食べた場合
- ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
治療法は?
ウイルスを原因とする感染性胃腸炎の特別な治療法はなく、症状を軽減させる処置が行われます。脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、十分に水分と栄養の補給を行いましょう。
予防法は?
感染予防で一番大切なことは手を洗うことです。排便後や調理、食事の前などには石けんと流水で十分に手を洗いましょう。また、牡蠣などの二枚貝を調理する際は、中まで火が通るように十分に加熱しましょう(中心部が85~90℃で90秒以上の加熱が望まれます)。
ノロウイルスの失活化には、加熱の他に次亜塩素酸ナトリウム(市販のハイターなど)が有効と言われています。ドアノブや手すり、テーブルなどは次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1,000ppm※)で拭くことでウイルスを失活させることができます(錆びる可能性があるので、最後に水拭きもしてください)。また、まな板や包丁などの調理器具やふきんなども消毒することが大切です。
※塩素濃度1,000ppm(0.1%)の消毒液の作り方(希釈の目安)
ハイター(キャップ半分の量)を水490mlに入れる。