薬局だより
薬と食べ物②
薬局 薬剤師 梶原 光太
7月号に引き続き、今月も薬と食べ物の相性の悪い組み合わせについてご紹介していきます。
●ある種の抗菌薬 + 牛乳
抗菌薬…細菌の発生や増殖を抑える薬。中でも微生物によって作り出された化学物質のことを抗生物質と呼ぶ。ウイルスには効かない。
細菌が原因で引き起こされる病気に対して、抗菌薬が処方されることがあります。抗菌薬の種類によっては、薬を服用する前後に牛乳を飲んでしまうと、薬の吸収が妨げられ、効果が弱まってしまうものがありますので注意が必要です。少なくとも抗菌薬を服用する前後2~3時間は牛乳を飲まないようにしましょう。影響を受ける抗菌薬の一例を下に載せておきます。
テトラサイクリン系薬…ミノマイシン、アクロマイシン など
ニューキノロン系薬…バクシダール、クラビット、シプロキサン など
●様々な薬剤 + セイヨウオトギリソウ
セイヨウオトギリソウはうつ病に効果があると言われているハーブで、「セントジョーンズワート」という名前でサプリメントとして販売されています。このハーブは、薬剤を分解し体外へ排泄する過程で活躍するある種の薬物代謝酵素の働きを強めてしまうことが知られており、様々な薬剤の効果を弱めてしまう恐れがあります。影響を受ける薬剤の一例を下に載せますが、これ以外にもたくさんの薬剤が影響を受けるため、このサプリメントと薬剤を一緒に服用したい場合は薬剤師にご相談ください。
気管支拡張薬…テオドール、ネオフィリン など
抗てんかん薬…アレビアチン、テグレトール、フェノバール など
強心薬…ジゴシン、ジギトキシン、ラニラピッド など
抗不整脈薬…リスモダン、アンカロン、プロノン など
抗凝固薬…ワーファリン
消化性潰瘍治療薬…オメプラール、ネキシウム など
●様々な薬剤 + 喫煙
喫煙により体内のある種の薬物代謝酵素の働きが強まることが知られているため、薬剤によっては効果が弱まってしまうものがあります。逆に言えば、今まで喫煙をしていた方が禁煙をすることで、薬の分解がいつもより抑えられ、副作用が発現してしまうことも考えられます。そのため、現在喫煙をしていることや今後禁煙を考えていることなどは必ず医師に伝えてください。
また、たばこの副流煙にも薬物代謝酵素の働きを強める成分が含まれているため、受動喫煙でも薬剤との相互作用に注意する必要があります。この他の作用によって影響を受ける薬剤もあり、中には喫煙者では服用できない薬剤もあります。喫煙は薬剤だけでなく病気自体にも悪影響を及ぼしやすいですので、早めの禁煙をお勧めします。
【代謝酵素の働きを強める効果により影響を受ける薬剤】
気管支拡張薬…テオドール など
高血圧薬…インデラル など
消化性潰瘍治療薬…タガメット、ザンタック など
抗不整脈薬…メキシチール、タンボコール など
解熱鎮痛薬…アセトアミノフェン
【その他の効果により影響を受ける薬剤】
女性ホルモン製剤…ソフィア、プラノバール、ヤーズ など
インスリン製剤