薬局だより
糖尿病の薬について②
薬局 薬剤師 大塚 亮
今月は先月号に引き続き、糖尿病の飲み薬について、さらには低血糖時の対応についてお話したいと思います。
<糖尿病の薬>
①チアゾリジン薬(インスリン抵抗性改善薬)・・・アクトスなど
糖尿病の場合、インスリンに対する体の反応が鈍くなって、血糖値が下がらないことがあります(インスリン抵抗性)。この薬はインスリン抵抗性を少なくすることでインスリンの作用を高め血糖値を下げます。
(飲み忘れ時の対応)
気付いたときにすぐ飲んでください。次の服用時間が近いときは飲まないでください。
②速攻型インスリン分泌促進薬・・・スターシス、グルファスト、ファスティックなど
速やかに短時間だけインスリンの分泌を促すことによって、食後の高血糖を改善します。
(飲み忘れ時の対応)
食事の直前に飲むお薬ですので、食後に飲んでもほとんど効果は期待できません。飲み忘れた場合は服用しないでください。
③DPP-4阻害薬・・・グラクティブ、ジャヌビア、エクア、ネシーナなど
「インクレチン(小腸から分泌され、インスリンの分泌を増強するホルモン)」を分解する「DPP- 4」という酵素の働きを抑えるお薬です。これによって「インクレチン」の量を増やし、高血糖のときだけインスリンの分泌を増やします。
(飲み忘れ時の対応)
気付いたときにすぐ飲んでください。次の服用時間が近いときは飲まないでください。
<低血糖(70㎎/dL未満)に気をつけましょう!>
症状…冷汗、動悸、手足のふるえ、めまい、脱力感、痙攣けいれんなど
※人によって症状には個人差がありますので、低血糖の経験がある場合は自分の症状を覚えておきましょう。
低血糖時の対応
症状が現れた場合は、なるべく早く砂糖10~20gを摂取するか、または糖分を含んだジュースなどを200~350ml程度飲んでください。(※α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中の場合はブドウ糖)
※どこにいても、すぐに低血糖に対処できるように、常にブドウ糖や砂糖類を携帯していましょう。
今月号まで飲み薬についてお話してきましたが、糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」が基本になります。薬を飲むことで、食事・運動療法がいらなくなるということではありませんので注意しましょう。糖尿病で薬の処方を受けている方は、自分が服用している薬の正しい知識を身につけ、適切な服用方法を実践していきましょう。来月号はインスリン製剤についてお話したいと思います。