最近、話題となった感染症について
感染防止対策室 院内感染管理者・看護師 佐々木 みゆき
毎年、色々な感染症が話題に上がりますが、今回は、最近、話題になった「O-157感染症」についてお話したいと思います。感染症から身を守るためには、感染症をよく知ることがポイントとなります。
<腸管出血性大腸菌O-157>
腸管出血性大腸菌O-157による感染症は、O-157に汚染された食べ物が原因となります。O-157は、10個から100個と少ない菌でも、体内で増えて感染を起こします。感染を起こすと、強い腹痛、水溶性の下痢、血便や発熱などの症状が現れます。さらにベロ毒素の作用により、乳幼児や高齢者などでは、溶血性貧血や急性腎不全などを発症し、致命的になる場合があります。O-157は、温血動物(ウシ、ブタ、トリ等)の腸内には存在するといわれています。特に、ウシの腸内にはアメリカ産で20%、国内産で約5%存在します。腸管内にO-157が存在した場合、腸管を通り胆のう管を逆流し、肝臓内にO-157が定着すると、O-157で汚染されたレバーとなります。汚染されたレバーは、洗ってもO-157は死滅しませんので、生で食すると感染するおそれがあるとされています。この場合、加熱処理をするしか予防する方法はありません。そのようなこともあり、今年7月1日から、飲食店などで生レバーやユッケの販売が禁止されたことは記憶に新しいと思います。
家庭での予防は、調理するときは手や調理器具を十分に洗うこと、肉などは十分に加熱すること、まな板・包丁・食器などは熱湯で消毒すること、また、野菜なども流水でよく洗うことが大切です。常に、目に見えない細菌に注意を払うことが大切です。
また、細菌から身を守るためには、身体の調子を健康な状態に整えて、抵抗力をつけることも大事です。ヨーグルトや納豆などを食べ、腸を鍛えましょう。