薬局だより
睡眠薬の話
薬局 薬剤師 中田 真生
今回は睡眠薬について説明したいと思います。以前、ある曜日に放送していたサスペンスドラマの影響もあってか、「睡眠薬は怖い」「癖になる」といったイメージがあるかもしれません。実際、ドラマなどで再現されているようなことはあるのでしょうか?睡眠薬にはいくつか種類がありますので、主に使用されている薬剤について説明していきます。
①バルビツール酸系薬剤
この薬剤は、今ではあまり使われなくなりました。昔は使われていたのですが、服用して得られる睡眠が自然に眠れている時とあまり類似していないため、熟睡感が得られませんでした。それに加え、致死量が低いことも問題でした。昔のドラマ等のイメージの睡眠薬はこれに当たります。
②ベンゾジアゼピン系薬剤
現在、睡眠薬の主流として使われている薬剤です。服用して得られる睡眠は自然に近く、バルビツール酸系薬剤と違い熟睡感があります。癖になるなどの依存も少なく、更に、大量に服用しても死ぬことはありません。薬剤にもよりますが、致死量は何万錠とも言われています。しかしながら、大量に服用した場合は体に害がありますので、指示されている以上の量の薬を服用してはいけません。お酒との相性も悪いので、服用中のお酒は控えるようにして下さい。
③抗ヒスタミン薬
アレルギーに効く抗ヒスタミン薬も睡眠導入薬として服用されることがあります。「アレルギーの薬は眠くなる」と感じたことはありませんか?この欠点を逆手にとり、寝つきを良くする薬として使用されています。市販されているドリエルがこれにあたります。
これらの薬剤の他に、睡眠を促すメラトニンという物質と同じところに作用する薬などもあります。現在使用されている薬のほとんどが、危険の少ない睡眠薬です。医師の指示通り正しい量を服用していれば、全くと言っていいほど害はありません。自然に眠れるのが一番良いですが、不眠で辛い時はイメージが悪いからと嫌がるのではなく、薬を使ってみるのも一つの手かもしれません。そして、飲むときはちゃんと寝る前に飲んで下さい。飲んだ後にテレビを見たりなどすると、薬がだんだんと効かなくなることがあります。